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北海道地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [北海道地区]

ヤチボウズはどこに?

2007年08月22日
釧路湿原
夏は「ヤチボウズはどこに行ったら見られますか?」という質問をよく受けます。
旺盛に茂る植物がヤチボウズを覆い隠してしまい、わかりにくくなってしまうからでしょう。初めて湿原を訪れた方には、豊かな緑の下にヤチボウズがぽこぽこ並んでいるとは想像がつきにくいと思います。

湿原の地面からボール状に高く盛り上がるヤチボウズ。その正体は、カブスゲなどのスゲ類が前の年までの根の上に新しい根をはって年々株を成長させたものです。
湿原の至る所で見られるシンボル的存在です。

1枚目の写真は5月中旬、2枚目は本日(8月22日)、ほぼ同じ場所から撮影したもの。
5月はヤチボウズ(スゲ)一辺倒ですが、今は紫色の鮮やかなサワギキョウを筆頭に、モザイク状に様々な植物が見られます。
地面から隆起したヤチボウズは、ちょっと湿地が苦手な植物にとってはよい足場となるので、宿主以外の植物も「寄せ植え」のように便乗することがあります。逆にヤチボウズ同士の谷間は水が溜まりやすく、水位の高い場所が好きな植物にとっては天国となりえます。
ヤチボウズの生み出す微妙な地形は、湿原の花々の配置を決める要素の一つとなっているのです。

サワギキョウは今が盛りで、8月いっぱいは楽しめます。
さてサワギキョウが生えているのはヤチボウズの上?それとも谷間の方でしょうか?
植物の生え方から想像してゆくと、隠された坊主姿が見えてくるかもしれませんよ。

5月中旬のヤチボウズ芽吹きのころ

今の状態:たくさんの花が咲き、ヤチボウズの面影はないように見えますが・・・

サワギキョウ:今の釧路湿原はこの紫色とセリ科の白い花とのコントラストが見事。