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北海道地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [北海道地区]

知床岬への道のり

2007年09月03日
羅臼
8月29日、知床半島の観音岩・ウナキベツ川に設置してあるカウンターデータの回収(このカウンターは知床岬方面の知床岳と知床岬への利用者数を調べる目的で設置してあります。)と巡視を行ってきました。
知床半島の羅臼側は相泊までは車で行けますが、そこから知床岬までの約20kmは道がありません。観音岩・ウナキベツ川は道が無くなる相泊から知床岬方面へ約4km。距離的にはたいしたことないなぁ?と思うかもしれませんが、その道のりはなかなか大変です!

まず、第一の難関は「昆布」です。
羅臼昆布の漁期にあたるこの時期は、海岸線に立ち並ぶ昆布番屋で、昆布干しをしています。昆布はならした石の上に干されているのですが、土がついたり、少しでも形が崩れたり、傷が付くと等級が下がり、値段がかなり下がるとか・・・。昆布干場に極力迷惑がかからないよう、緊張しながら干し場の最も海岸沿いを通りました。

そして、第二の難関は「石浜」です。
番屋を過ぎると、大小様々な大きさの石が海岸線を埋め尽くし、石から石へと飛び移って行かなければなりません。ここを歩くとかなりバランス感覚が鍛えられます(笑)。

最後の難関は「岩壁」です。
観音岩には、ほぼ垂直に近い約20mの岩壁がそびえ立っています。これを超えなければ、先へ進むことはできません。足場を確認しながら慎重に登っていきます。息を切らして岩壁を超えると、ウナキベツ川の清流の音が聞こえてきます。河畔林の木陰はとても涼しく、岩壁越えの緊張感もほぐれていきました。

この先、知床岬まではさらに厳しい難所がいくつも待ちかまえている上、ヒグマとの遭遇など危険度はさらに増しています。知床岬を目指す人は、十分な計画、気力、体力、判断力、そしてかなりの“勇気”が必要かもしれません。



海岸線に続く石浜

観音岩の岩壁
下から見上げるとほぼ垂直