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北海道地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [北海道地区]

ヒグマのレストラン

2007年09月11日
羅臼
9月10日(月)、天気:雨。
土曜日の台風の影響で、自然保護官事務所近くの沢が増水し、そこにもカラフトマスが遡上していた、との情報を前夜に聞いたため、さっそく現地へ確認に行きました。

するとたしかに、水深が15cmもないような浅く細い沢の中に、カラフトマスが入り込んでいました。

よく見ると、明らかに体に厚みがある大きな魚も、1尾混ざっていました。おお、もうこんな上流まで遡上してたんだなあ。シロザケです。

沢が浅すぎて、完全に背中が水面上に出ていました。

しかしこんな浅い沢に、大きな魚がたくさん入り込んでいるとなると、ヒグマにとって良い漁場になりそうです。この沢は道路の下を土管でくぐって、反対側にいくとヤブの中を流れています。

そこで、大きな声を出し、腰のクマ撃退スプレーのホルダーに手をかけながら、20mほど沢の中を歩いて進むと・・・・

予感的中。

食いちぎられたマスの死体が散乱していました。

周囲のフキをなぎ倒して、「大きな生き物」が座ってマスを食べたように見える場所も、何ヵ所か発見しました。

明瞭な足跡や糞は発見できませんでしたが、キツネやシマフクロウの仕業にしては、マスの食いちぎり方やフキのなぎ倒し方が豪快すぎます。どうやら予想通り、ここのヤブの中はクマさんのレストランになっていたようです。

ヒグマのレストランから道路までの距離は、近いところでは10-15 mくらい。

レストランからは、道路を走る乗用車やバスが見えます。

ヒグマが食べ残したマスと・・・

振り返ると見える、道路を走る観光バス。いやあー、やっぱ近いなあ(苦笑)。

この道路は私も毎日、通勤その他で車を走らせている道です。鈍感な人間が気付かないだけで、ヒグマは人間のすぐ近くでヤブに姿を隠して行動していることを改めて実感しました。さすが知床!ですね。

※ 知床は市街地周辺を含む全域が、ヒグマの生息地です。
危険な餌付けグマを作り出さないよう、いつでも、どこでも、ゴミや食べ物の管理は厳重にお願いします。
駐車場でテント張ってバーベキューして、酔っぱらって残飯が朝までそのまま・・・なんていうのは最低最悪です。