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北海道地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [北海道地区]

エゾシカから感じる秋の装い

2007年09月12日
ウトロ
朝晩の気温が低くなり、山肌には早くも赤や黄色に色付いてきた木々の葉が、ちらほらと目につくようになってきました。

 エゾシカたちも繁殖期に向けて、雄はビロード状の皮膚で包まれた袋角から表皮が脱落し、硬い枯れ角へと変わる時期です。表皮が脱落中で角から血が出ているシカや、木の幹などで角をこすっているシカを見かけます。


まだ袋角です

脱落した表皮が角から垂れ下がっています

木で角をこすっていました


そうした体の変化が現れると共に、繁殖期になるとエゾシカの活動が活発になってきます。それに伴いシカと遭遇する機会も増え、より身近にエゾシカの存在を感じられるようになると思います。と同時に、道路に出てきたシカとの衝突事故の危険も高まります。
エゾシカには当然ながら道路という認識はありません。道路を渡るときも割とゆっくりですし、一頭やりすごしてもその後に数頭続くこともあります。エゾシカはそんな風なので、やはり人間の方で飛び出しに備えることが事故防止に繋がります。エゾシカと車との交通事故は、エゾシカだけでなく人間の生命にも関わることなので、十分注意が必要です。



またエゾシカと車の衝突事故だけでなく、エゾシカを見るために駐停車している車へ、別の車が追突するおそれもあります。急な停車や、見通しの悪い場所等での駐停車は大変危険ですので、ご注意ください。


エゾシカは知床で最も簡単に出会える野生動物です。私自身も初めて見た時は、あまりに普通にいるので驚きました。ただし、身近にいるとはいえエゾシカも野生動物なので、接近しすぎることは(角をもつ雄は特に)危険です。また餌を与えることも、エゾシカを人慣れさせ、それがエスカレートして人を威嚇するようになるおそれがあります。
エゾシカに限ったことではありませんが、野生動物には決して餌を与えず、接近しすぎずに、じっくりその姿を観察してみてください。


川を渡るエゾシカ