アクティブ・レンジャー日記 [北海道地区]
【特定外来生物】 ウチダザリガニ ~支笏湖編~
2007年10月29日
支笏湖
こんにちは、支笏湖アクティブレンジャー西川です。
今日は、今年度のウチダザリガニ駆除作業が終了しましたのでその報告です。
環境省で【特定外来生物】に指定されている動植物は何種類かありますが、ここ支笏湖では数年前に見つかった『ウチダザリガニ』というのがいます。
ウチダ・・・と聞けば何となく日本ぽく感じるのですが、出身は北米です。
自分の足で海を越えて遙々日本へやってきたわけではなく、もともとは食用として人の手によって日本へ運ばれてきたものです。
なので、ウチダザリガニ本人には何も罪はないのですが、もともと日本(北海道)に住んでいたニホンザリガニという、とっても小柄でカワイイザリガニの生息地を奪ったり、時にはニホンザリガニを食べてしまったりする凶暴な一面があったり、場所によっては貴重な水草を食べ尽くして全滅させてしまったり、ウチダザリガニの体には『ザリガニペスト』という水カビの菌を保持しています。この菌に対して免疫力がないと思われるニホンザリガニは同じ水域に生息していると死んでしまうかもしれない、という危険もあります。
またウチダザリガニは繁殖力も強く、ニホンザリガニの数十倍ともいわれています。強くて繁殖力もあればあっという間に生息数も生息地域も拡大していくでしょう。
と随分前置きが長くなりましたが、昨年から始めた駆除作業。
カニカゴ漁で使う罠にエサを入れて湖底に沈めます。
2~3日おきにカゴを揚げ、ウチダザリガニが掛かっていたら計測してデータをとります。またエサを入れて沈める。これをひたすら繰り返すのです。
支笏湖の場合は冬は湖面が荒れることが多いので夏場の作業となります。
平成18年度は【314匹】の捕獲(8月下旬~10月下旬)
そして
平成19年度は【1164匹】の捕獲でした。(7月下旬~10月下旬)
昨年度は手探り状態での駆除作業でしたが、本年度は大体の生息地の特定もできており要領よく捕獲することができたり、昨年より駆除期間が長かった、など様々な要因はあるでしょうが、単純にこの数字にはビックリしています。
まだ生息地域が大きく拡大されていないのが救いですが、はたしてこの支笏湖にはどれくらいの数のウチダザリガニが潜んでいるのでしょうか・・・・?
考えただけでも恐ろしくなります。
そこで、皆さんにお願いです。
生き物を飼うときには、もともとはどこで生まれどこに住んでいたのか、もし飼えなくなってしまったらどうすればいいのか、しっかり調べてみてください。
「自然に帰してあげれば・・・・」
この安易な考えが後々大変なことになってしまうことも忘れないでくださいね。
罠を仕掛けているところ(8月)
今期最大の165gを記録したウチダザリガニ【ビッグマン】
このハサミで挟まれたら・・・(怖っ)
とってもかわいいニホンザリガニです。
これじゃあウチダに食べられてもおかしくないですよね・・・
今日は、今年度のウチダザリガニ駆除作業が終了しましたのでその報告です。
環境省で【特定外来生物】に指定されている動植物は何種類かありますが、ここ支笏湖では数年前に見つかった『ウチダザリガニ』というのがいます。
ウチダ・・・と聞けば何となく日本ぽく感じるのですが、出身は北米です。
自分の足で海を越えて遙々日本へやってきたわけではなく、もともとは食用として人の手によって日本へ運ばれてきたものです。
なので、ウチダザリガニ本人には何も罪はないのですが、もともと日本(北海道)に住んでいたニホンザリガニという、とっても小柄でカワイイザリガニの生息地を奪ったり、時にはニホンザリガニを食べてしまったりする凶暴な一面があったり、場所によっては貴重な水草を食べ尽くして全滅させてしまったり、ウチダザリガニの体には『ザリガニペスト』という水カビの菌を保持しています。この菌に対して免疫力がないと思われるニホンザリガニは同じ水域に生息していると死んでしまうかもしれない、という危険もあります。
またウチダザリガニは繁殖力も強く、ニホンザリガニの数十倍ともいわれています。強くて繁殖力もあればあっという間に生息数も生息地域も拡大していくでしょう。
と随分前置きが長くなりましたが、昨年から始めた駆除作業。
カニカゴ漁で使う罠にエサを入れて湖底に沈めます。
2~3日おきにカゴを揚げ、ウチダザリガニが掛かっていたら計測してデータをとります。またエサを入れて沈める。これをひたすら繰り返すのです。
支笏湖の場合は冬は湖面が荒れることが多いので夏場の作業となります。
平成18年度は【314匹】の捕獲(8月下旬~10月下旬)
そして
平成19年度は【1164匹】の捕獲でした。(7月下旬~10月下旬)
昨年度は手探り状態での駆除作業でしたが、本年度は大体の生息地の特定もできており要領よく捕獲することができたり、昨年より駆除期間が長かった、など様々な要因はあるでしょうが、単純にこの数字にはビックリしています。
まだ生息地域が大きく拡大されていないのが救いですが、はたしてこの支笏湖にはどれくらいの数のウチダザリガニが潜んでいるのでしょうか・・・・?
考えただけでも恐ろしくなります。
そこで、皆さんにお願いです。
生き物を飼うときには、もともとはどこで生まれどこに住んでいたのか、もし飼えなくなってしまったらどうすればいいのか、しっかり調べてみてください。
「自然に帰してあげれば・・・・」
この安易な考えが後々大変なことになってしまうことも忘れないでくださいね。
罠を仕掛けているところ(8月)
今期最大の165gを記録したウチダザリガニ【ビッグマン】
このハサミで挟まれたら・・・(怖っ)
とってもかわいいニホンザリガニです。
これじゃあウチダに食べられてもおかしくないですよね・・・