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北海道地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [北海道地区]

冬の音

2007年11月16日
東川
11月中旬、大雪山の頂が白く覆われる頃、山の裾野を歩いてみると靴の裏から聞こえてくる音と感触は明らかに夏の時とは違う。
一度空に浮いてから「ザクッ、ザクッ」と沈み込む。歩道に霜柱がたっているのだ。足下から冬の気配を感じる瞬間。


ここは十勝岳連峰の吹上温泉から望岳台に続く歩道で、片道3.8kmほどでアップダウンがほとんどないコースだが、夏場の登山シーズンでも歩く人はほとんどいない。高山帯が雪で覆われ登山口にも霜が降りる時期ならなおさらだ。
冬枯れの景色の中、雪が積もる前にコース上の巡視をと歩き出した私の足下に、青々とした葉に白い実を付けたシラタマノキを見つけ、ここだけ季節が止まったように感じさせられた。そうかと思えば、すぐ横には地面からニョキニョキと突き出た霜柱が「冬は近いよ」と告げている。


沢に足を踏み入れると突然目の前の斜面を小石が転がり落ち、誰にも出会わないような静かな場所に自分以外の生き物がいる事に少し安堵感を覚える。とうに視界の外に走り去った小動物をキョロキョロと必死で探してみる。なんだか滑稽だ。顔を上げると十勝岳が噴煙を上げ、鼻で笑っているように見えた。

※上富良野町白銀ゲート~美瑛町望岳台ゲート間は平成20年5月13日まで冬季通行止めになっていますのでご注意下さい。