アクティブ・レンジャー日記 [北海道地区]
雪が語る
2007年12月14日
上川
12月中旬黒岳。
色とりどりの植物で装い、多くの利用者で賑わいをみせる夏山の黒岳も、白銀一色となった冬のこの時期は、簡単に人を近づけさせない貫禄を放っています。
130㎝から170㎝積もった雪を踏みしめて山頂にたてば、積雪量の違いによる雪の白さの濃淡で、立体的に浮き上がっている山並みが連なっていて、白銀の世界が果てしなく広がっていました。
くぼみの深く積もっている雪を見れば、この雪が高山植物の貴重な水資源になっているのだろうと思い、雪がほとんど積もっていないところを見れば、厳しい強風や低温で、厳しい環境のなかでも植物は耐えているんだなとか思う。
また、雪の柔らかさは、多様な痕跡を残し、事実を語ってくれます。その代表的なものは動物たちの足跡で、山頂でも、あちこちに、キタキツネやユキウサギの足跡を見つけたり、ホシガラスがこちらを気にしながらも一生懸命に雪をほじくっていたりと、動物たちの息吹も感じます。もしかしたら、雪のある季節は入山者が少ないので、冬眠しない生き物たちにとっては、大雪山を自由に動き回れる、もってこいの季節なのかもしれません。
人にとって大雪山は冬季入山が困難な場所ですが、こういった環境が、高山植物の宝庫となったり、多くの動物たちが生息していたりと、奥深い大雪山の魅力を作り上げています。
ぽん黒岳より、凌雲岳、北鎮岳を望む。真ん中より少し左下に、雪の中から、黒岳石室の屋根とバイオトイレの屋根がのぞいています。
西からの風を浴びているのがわかる、雪のシマシマ。
石の西側には雪がついていないが、反対の東側には石の高さに積もっている。
高山風衝地に咲くウラシマツツジは、厳しい強風や寒さに耐えることができる植物です。
山頂付近に落ちていたユキウサギの糞。
白い雪の上に転がる茶色のこの物体は、とても目立っていました。
空はこれから天気が崩れると語っています。
今は厳冬期の時期です。特に天気や気温、雪の状態には十分注意して、無理のない行動をしてください。