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北海道地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [北海道地区]

凍る冬のオホーツク海

2008年01月25日
ウトロ
今月19日、網走市と紋別市で、今年の冬初めて、流氷が陸から肉眼で確認されました。翌日の20日には、ウトロからも沖合に広がる流氷が見られ、21日には薄いハス葉状の氷が海岸に接岸しました。
港の中を埋め尽くす流氷を初めて見たときは、港が凍っているのか何なのかよくわかりませんでしたが、港を出て海を見渡してみると、一面とまではいかないまでも、「これぞ流氷」というような景色が広がっていました。


接岸した流氷。



流氷はオホーツク海北部のシベリア大陸沿岸でできはじめ、その後徐々に凍る範囲が南へと広がっていきます。流氷にはブラインという重い海水が含まれ、このブラインが沈む代わりに、栄養分を多く含む深層の海水がわき上がってきます。海氷の底や内部では、この栄養分やブラインに含まれる栄養を利用してアイス・アルジーと呼ばれる藻類が繁殖し、豊かな生態系の起点となります。
知床は世界で最も低緯度にある「凍る海」で、海氷に特徴づけられる海洋生態系と、陸上の生態系が連続することによって複合生態系を形成しており、そのことが世界遺産に登録された大きな理由の一つです。


沖を漂う流氷。


そのような流氷ですが、このままどんどん押し寄せてくるのかと思いきや、次の日は全く見あたらなかったりして、安定して見られるようになるのはもう少し先のようです。
これから流氷が接岸し始めると、海岸沿いのウトロの気候も内陸型のものに変わり、一層寒さが厳しくなってきます。


ウトロの入口「亀岩」と流氷。

プユニ岬よりの眺望。帯状の流氷が見えます。