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北海道地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [北海道地区]

子どもパークレンジャー ~雪の探検家の巻~

2008年03月05日
洞爺湖
 去る2月11日 くもりの日、小学生14名は洞爺湖の財田に集まった。レンジャー帽子とバッチ、手帳、虫眼鏡を渡されて、みんなは子どもパークレンジャーとなった。今回はレンジャーの重要な仕事「調べる」。テーマは「雪」だ。そして、子どもパークレンジャーの3箇条は、一、自然を大切にする!二、友達を沢山作ろう!三、レンジャーの言うこと守ろう!だ。さっそく、三はやぶられることになるが・・・。

 北海道の子どもたちにとっては、雪は冬にはあって当たり前の季節の風物詩。でも雪そのものをじっくり見たことがある子どもは少ないだろう。スライドガラスにのった雪の結晶のレプリカを顕微鏡で覗いてみる。「きれい!これほしい!」。6角形だけど、まだその理由は解明されていない。空気中の水蒸気の量が多く、温度がマイナス10度からマイナス20度にならないと結晶は作られない。次は雪の断面を調べる。当日の積雪量は30cm程。まずは、子ども達が一生懸命にスコップで雪の断面を切り取り、食紅スプレーで吹きかける。するとみるみるうちに雪の層がはっきり現れてきた。「すげぇ線が出てきた~」1ヶ月分の天候と気温の一覧を見ながら、天候によって層ができることを知る。次に雪の中の温度を調べて見た。深くなるほど温度が高くなる。雪面では、零下でも土の中は凍らず、外より温かい。この土の中で虫たちは春の訪れを待っている。1グループは土の中の生きものを発見。起こされた虫たちは「さむいべや・・」と動きも鈍い。そして、冬も活動しているエゾリスは冬の食料源として、雪が降る前に集めてきた食べ物を土の中に埋めておく。埋めたところを忘れてしまって取り残された種などは、運が良ければ芽を出すこともあるだろう。他にも冬には、洞爺湖周辺では鳥やエゾキツネたちなどが活動をしている。

雪の断面の調査。土の中はどんな生きものがいるのかな?
  
 午後は、わかん(冬に使用する雪の上を歩く道具)を履いて冬の生きものの足跡を探しに行く。つぼ足(何も道具を利用しないで歩くこと)ではなく、わかんを履くのも初めての子ども達。つぼ足よりは沈まない。子ども達はわかんを足に取り付けたら、即雪面を走って行った。「待て待て」子ども達は待つことがあんまり好きじゃない。「足跡探してみて~」というとすぐ立ち止まった。子ども達は素直だ。「キツネかなぁ~シカかなぁ~」と悩みながら・・・タヌキ、キツネ、ウサギ、ネズミ、テン、イタチ・・・と10種類の足跡が見つかった。地図に各グループが足跡を書き込んでみると、動物たちの足跡はつながっているようだ・・・もしかしたらこのキツネの足跡はもう一つのグループが見つけたキツネの足跡と同じキツネかもね・・・と想像はふくらむ。

この足跡はだれの足跡だろう??この足跡大きいね。

 雪の中を歩いて見ることで雪から得る情報はたくさんある。動物の足跡を見ることができるのも冬だからこそ。動物たちの生活を知ることが出来るし、何より、沢山の動物がいるということは自然が豊かな証拠だ。雪を探検した子ども達は、来年もまた探検家として洞爺湖の自然を感じてもらえたらいいな。

今年度最後の子どもパークレンジャーたち。