北海道のアイコン

北海道地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [北海道地区]

祝!初登頂!!

2008年06月06日
羅臼
6月5日(木)羅臼岳の巡視を行いました。そこでついに羅臼岳(標高1661m)に登頂することができたのです。
実は、私が初めてAR日記に投稿した4月11日の内容も、羅臼岳巡視の報告でした。4月9日に巡視に行った報告でしたが、そのときはゾンメルスキーを装着しての登山でしたし、登頂はできず、途中で引き返してきたのでした。

 羅臼岳は標高1661mの山。知床半島では最も高い山です。1661mというとそんなにきつそうな山ではない印象をもつかと思いますが、羅臼岳は登山口から頂上までの標高差が1500mあり、本州3000m級の山に匹敵する本格的な登山です。
羅臼岳にはウトロ側から登る「岩尾別コース」と羅臼側から登る「羅臼温泉コース」の入山コースがあります。岩尾別コースは、一般的に登り5時間下り4時間、休憩時間をいれて10時間がコース設定の中級コース、羅臼温泉コースは登り6時間下り5時間、休憩をいれて12時間がコース設定の上級コースです。
私たちは羅臼側の羅臼温泉コースを使っての登山です。

 登山口から4時間、そろそろ足に乳酸が溜まって来たなーと感じる頃、それは急に姿を表します。「屏風岩の雪渓」です。


雪渓を登る木村ARと後藤

 9月頃まで残る約30度もある急斜面の雪渓が、目の前にそびえ立ちます。ここから先は12本爪のアイゼンとピッケルがなくてはとても登れません。しかも一歩踏み外せば滑落の危険性が高いので、慎重に慎重に。
 急斜面に尻込みしてしまう気持ちを奮い立たせ、いざ!ここを登らないと登頂できない!

しかし約30度もある急斜面、10歩登っては一息…その繰り返しです。足がパンパンになり、ふくらはぎは自分のものではないような感覚に。
でも、まだまだ雪渓の切れ目は見えません。雪渓上での休憩中…。



木村AR土下座?!

いえいえ、雪渓の雪で顔を冷やしているところです。私も雪で足を冷やします。
 雪渓が残っているくらいなのでまだまだ涼しいのですが、急斜面を登っていると暑くて尋常ではない量の汗をかきます。また、足は張ってパンパンになります。そんなとき、疲れた体を癒してくれるのもまた雪渓なのです。

 屏風岩の雪渓をようやく越え、羅臼平に出て、最後の急坂を登り切れば登頂です。あと一息!!


羅臼岳より望む知床連山

 屏風岩から約2時間後、羅臼岳の山頂にたどり着くことができました!
頑張った甲斐がありました。羅臼岳から見える景色の素晴らしいこと!
 先にも書きましたが、羅臼岳は知床半島で最も高い山。すべてが見下ろせます。(岬までは見えませんが)
 三ッ峯・サシルイ岳・オッカバケ岳・知円別岳・硫黄山などから連なる知床連山、羅臼湖、知床五湖、知西別岳が頂上から見える360度の景色の中に望むことができます。
 また、右手にウトロの町並みをみれば左手に羅臼の町並みが見え、その海の向こうには国後島が見えます。
 まるで知床半島のおへそにでもいる気分です。
 羅臼側、ウトロ側両方の海を一度に見ることができる羅臼岳山頂、まさに半島にいる実感が沸きます。
 厳しかった登山でしたが羅臼岳の猛々しさに惚れ、そして改めて知床の自然の雄大さを感じた、今回の巡視でした。