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北海道地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [北海道地区]

虫喰う花たち

2008年07月06日
釧路湿原
今年はタヌキモの花の付きがよいみたいで、温根内ビジターセンターの木道では黄色いかわいい花が観察できます。

タヌキモはふわふわと水面を浮遊している(根を地中にはらない)水生植物で、「タヌキ」の名にふさわしく、タヌキのしっぽのようにふさふさの葉を水面に拡げています(写真の水面下に見えるのが葉です)。
 さて、このふさふさの葉には恐るべき機能が・・・



ちょっと拝借。
よく見ると葉にはブツブツがたくさんついています。これは「捕虫嚢」と呼ばれる小さな袋で、この袋で水面を漂う小さな虫などをとらえて栄養にしてしまうのです!
タヌキモは「食虫植物」なのでした。
袋は何も入っていないと透き通っているのですが、この写真の個体は食べ過ぎ・・・なのかずいぶん黒かったです。

食虫植物といえば「モウセンゴケ」の名前のほうがお馴染みかもしれません。
こちらも温根内で観察できます。水の張った場所に生息するタヌキモと異なり、こちらはミズゴケが発達したタイプの湿原に生育しています。


虫採りの作戦も袋ではなくとりもち方式です(写真の部分がねばねばしています)。
タヌキモに負けず劣らずかわいらしい花をこれから咲かせます。

 湿原という栄養の乏しい環境で虫を栄養にしてしまおうという戦略を持った2種。見比べてみると面白いと思います。