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北海道地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [北海道地区]

どうして保護されているの?

2008年07月10日
釧路湿原
7月9日、釧路湿原野生生物保護センターに中標津町の小学校から5人の小学生たちが訪れました。修学旅行の途中、総合学習の一環として、ここではどんな動物がどのように保護されているのか?ということが知りたくてやってきました。

当センターで保護されているオオワシ、オジロワシ、シマフクロウについて学んだあと、実際にリハビリ中のオオワシとオジロワシを見学するという予定です。


オオワシって翼を広げるとどのくらい?
小学生が二人手を広げて並ぶと約2メートル50センチ。こんなに大きいんです。その大きさにみんなびっくり。


展示してあるシマフクロウの巣箱に入っています。大人も入れるくらいの大きさです。
シマフクロウの生息地や生息している可能性のあるところにはこんなに大きな巣箱が設置されています。

オオワシ、オジロワシ、シマフクロウの生態やここに運ばれてくる理由などを学んだ後、実際に保護されているオオワシとオジロワシを見に行きます。


猛禽類医学研究所の渡辺獣医師に、センターで保護しているオジロワシとオオワシについての話を聞いています。ここに保護されているワシたちは、交通事故や電線との接触による感電、鉛中毒など、人間社会に起因する要因で、負傷したり病気になったりしたものばかりです。事故で片方の翼を失ったオオワシや、感電してやけどを負っているオジロワシを見て、みんなの目がだんだん真剣になってきました。

今回の訪問で、子どもたちはどんな風に思ったのでしょうか?
「翼を失ったワシは野生に帰すことはできません。どうしたらいいと思う?」
「新しい翼を作ってあげればいい。」
「残念だけど、代わりの翼を作ることはとても難しい。でもみんなが大きくなって代わりの翼を作ってくれたらいいな。」
子どもたちと渡辺獣医のやり取りが印象的でした。

人間のせいでけがをして飛べなくなってしまったワシたちは、責任を持って人間が野生に帰すべき。そんな風に子どもたちが言っているように感じました。

人間とワシ、多くの野生動物たちが仲良く安心して暮らせる社会になるためにはどうしたらいいのか?今回の訪問をきっかけに、きっとこんなことを考えてくれたのではないでしょうか。

釧路湿原野生生物保護センターではけがや病気など、自分で生活することが困難になったワシやシマフクロウが収容され、野生に帰るためのリハビリをしている施設です。そのため、収容されている個体はできるだけ野生に近いような環境でリハビリを続けています。

今回の小学生達は特別に担当の獣医師と一緒に近くまで行きましたが、残念ながら一般の来訪者の方は、人慣れをさせないために、近くで見学することはできません。人に慣れてしまうと野生に放った後に人間の近くへ餌をもらいに来てしまう可能性があるからです。

しかし、センター2階からは窓越しにオオワシ、オジロワシを観察することができます。訪れた方は窓越しではありますが、野生に帰るために頑張っているワシたちをやさしく見守ってあげてください。