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北海道地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [北海道地区]

原始が原

2008年07月28日
東川
先日、原始が原登山口から富良野岳山頂まで巡視してきました。富良野岳は高山植物の豊かさで利用者に人気の高い山ですが、原始が原から登る人は少なく、この日も誰一人出会いませんでした。このコースを利用する人が少ないのは何故なのか、などを考えながら巡視しましたが主に次のような理由があると思いました。

・登山口から湿原まで虫が多い事。
・原始が原湿原内に木道などがなく、微かに付いた踏み後をぬかるみに足を取られながら歩かなければならない事。
・湿原を越えてから山頂までの距離が長く、山頂直下は砂礫で歩きにくく傾斜が大きい事。
などなど、この他にも理由はあると思いますが、しかし、そんなマイナス面も登山口に戻る頃にはすっかり忘れてしまうほど、このコースは魅力に溢れていました。
私が感じたこのコースの魅力は
・亜高山帯~高層湿原~高山帯を植物の垂直分布を観察しながら歩く楽しさがある。
(湿原では桃色のトキソウが見頃を迎えており、湿原から前富良野岳の稜線まではコマクサ・ホソバイワベンケイ・イワギキョウ・エゾウサギギク・ウスユキトウヒレン・エゾツツジ・ミヤマリンドウなどの色とりどりの高山植物が観察できる)
・利用者が少ないので、静かな山歩きを堪能できる。


前富良野岳のミヤマリンドウ群落。                                        そして一番面白いと感じたのは、湿原内のぬかるみです。避けても避けきれないほど登山道一面に広がるぬかるみは、避ける事はやめて逆にどこまで足が埋まるか試しながら歩くと楽しくなります。(靴の中まで汚れると登山に悪影響が出ると思いますので、登山靴とスパッツや履き慣れた人は長靴で歩く事をお勧めします)



原始が原湿原から見た前富良野岳。ぬかるみを避けて歩いた結果、登山道は複線化しています。                                        子供の頃は汚れる事より楽しさ優先で、ぬかるみを見つけたら自ら進んで入っていましたが、大人になると服や靴が汚れる事が気になるし、歩きやすさを優先するあまりついつい登山道を外れてしまう人も多いようですが、ここは童心に戻ってずんずんぬかる
みを歩き、汚れることも登山の一部だと思える人が増えると良いなと感じました。


暑い夏にマイナスイオンたっぷりの沢の中を横切るのは爽快です。                                        この日は往復林間コースを利用しましたが、滝コースを歩くと、鎖場や梯子、沢の上に掛かる丸木橋を渡るなど、ちょっとした冒険的要素も加わってさらにお勧めです。