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北海道地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [北海道地区]

昭和新山登山会

2008年10月06日
洞爺湖
 9月16日 地元、洞爺湖温泉小学校の講師依頼を受け、5・6年生と一緒に昭和新山へ登りました。昭和新山は1943年から1945年にかけてもともと麦畑だった所が火山活動によって隆起した山。そして国の特別天然記念物です。その隆起する様子を観察したのがミマツダイヤグラムで有名な故三松正夫郵便局長さんです。その三松正夫記念館の館長さんでまた、昭和新山の所有者でもある三松三朗さんに昭和新山の生い立ちを聞きながら子どもたちも頑張って頂上を目指しました。
 洞爺湖周辺では、昭和新山のように火山活動によって大地が変化します。江戸時代から数えると9回噴火がこの地で起きているのです。昭和新山や前回の日記に書いたような四十三山(明治新山)もそのひとつで洞爺湖も火山活動で出来たカルデラ湖。これら全てをひっくるめて広い意味で“有珠火山”といいます。
 大地が変化するといっても何によって動いているのかっていうと、それはマグマ。マグマが地中近くに入り込んで、地面を隆起させます。そのマグマが地表には出てこないで地下にとどまるのが潜在(せんざい)ドーム、マグマが地面を突き破って出てくるのが溶岩ドームといいます。昭和新山は見た目は若干、UFO(私はそのように見えます)。そのUFOの下の部分が潜在ドームとすると、UFOの丸い部分が溶岩ドーム。このように、昭和新山は潜在ドームと溶岩ドームで出来ています。
 今でも山頂近くは水蒸気が出ていて、また地面も熱い所で100℃近いところもあります。そこで子ども達は持参したソーセージなどを温めてお昼に食べました。教科書やお話で聞くのとは違い、実際に自分の足で歩き、目で確かめ、そして地球の熱のみで温められた食べ物を食べ、自然に生かされているということを肌で感じることができたでしょう。
いろんな情報が飛び交い、いろんなモノが溢れる世の中に、何が正しくて、どういったことが事実なのかを知るにはやっぱり自分で確かめなければなりません。そんなことも今回感じました。こういった経験を大人になった時にふと思い出してくれたらいいですね。

昭和新山が出来てから約63年経った今なお水蒸気が上がる

頂上をめざす子どもたち

昭和新山直下より眺める洞爺湖と羊蹄山