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北海道地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [北海道地区]

もの悲しげなエゾシカの鳴き声が聞こえています

2008年10月16日
ウトロ
秋が深まり、紅葉した葉がはらはらと落ち初めている知床の森。エゾシカたちも明るい茶色の夏毛から暗い焦げ茶色の冬毛に生え替わり、厳しい冬を迎える準備を始めています。



岩尾別の紅葉(10月15日)

10月はエゾシカの繁殖期にあたります。オスの首回りは太く、たてがみや前髪のような毛がのび、夏の間に栄養を蓄えた体はどっしりとして風格があります。
巡視中にひときわ角の大きなエゾシカを見つけました。片角2kg程はありそうです。



繁殖期を迎えたエゾシカのオス

繁殖期に見られる行動には自分の存在をアピールするラッティングコールというものがあります。
数100m先にも届く鳴き声で「ブフィーヨー・・グェー・・・」と聞こえます。この時期、森の中から声は頻繁に聞こえるのですが、鳴いている瞬間はなかなか見られません。
オスジカが上を向き、口を少し開けながら歩き始めたので、もしかして・・・。と思い待ちかまえましたが、そのまま歩いて行きました。どうやら大きな角が重いため、上を向いて歩いていただけのようです。
一見間抜けな感じに見えますが、ぎらぎらと周囲を見回す瞳から、子孫を残すために他のオスと戦う野生動物の気迫を感じました。



上を向いて歩くオスジカ 

*お願い*
・道路脇でエゾシカを観察する際には、交通事故を起こさないように道路脇に車を寄せ、見通しの悪いカーブでは停車しないように注意してください。また、走行中もエゾシカが道路上に急に飛び出してくることもあります。
・この時期のオスジカは気が荒く、安易に近づくと危険です。適度な距離を保って観察しましょう。