北海道のアイコン

北海道地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [北海道地区]

川にウグイが湧いた!

2008年11月28日
釧路湿原
雪こそ降っていませんが、釧路湿原もだいぶ「しばれて」きて、湖や川に張った氷が日中も溶けなくなりました。
(しばれる=北海道弁で、「凍る」「凍るほど寒い」などの意味)

寒さでちょっと出不精になっていた矢先、「とにかく凄いから」と地元の方に誘われるままコッタロ川に出かけることに。
コッタロ川と小さな支流の合流点で、ところどころ氷の張った水面を覗き込むと・・・そこには真っ黒に蠢くものが!
ウグイの大群でした!



手前から奥まで、波立っているところ全てウグイが上へ下への大騒ぎ。
川底から無限に湧き出しているように見えました(動画でお届けできないのが残念です)。
ウグイは普通に見られる魚ですが、確かに尋常ではない数が集っています。

合流点からコッタロ川の本流側に1~2mも離れると、全く魚影がありません。
しかし、合流点から上流には、すぐ川筋が狭く浅くなってしまうのですが、水中にはウグイの黒い帯が延々と続いていました。
どうやらウグイの目的は上流のようです。こんなに集まって何をしようというのでしょう?



砂底の浅い流れを上流へとむかうウグイたち


上流はどんどん細くなります。
今にもヨシ原に消え入りそうなこの流れの先には一体何が?

釧路湿原では厳冬期、湧水が豊富な箇所にはトゲウオなどの魚が集まることが知られています。地中から出る湧水は冬も周囲より温かく凍りにくいためです。
このウグイの大集合も、越冬のためより水温の高い場所を求めての移動と考えられます。
「目的地」を確認することはできませんでしたが、恐らくこの支流の上流には湧水ポイントがあるのでしょう。
合流点に湧き出すウグイは、釧路湿原に本格的な「しばれの季節」がやってくることを告げていたのですね。
膨大な湧水ポイントを懐に抱える釧路湿原では、この時期、同じように魚が集まる場所が人知れずたくさんあるのだと思います。

冬の到来を感じさせる生き物の行動、皆さんの身の回りにはどんなものがありますか?