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北海道地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [北海道地区]

上空を羽ばたく巨大な翼

2008年12月19日
羅臼
「一年を通して、動物園や水族館でしか会うことの出来ない動物に出会える場所」これは知床の大きな魅力のひとつといえるでしょう。
「じゃあ実際何がいるの?」と突っ込まれそうなので例を挙げると、ヒグマやシャチ、クジラ、イルカ、アザラシ、トドなど、大型哺乳類が沢山棲んでいます。
しかし、日記を読んで下さっている方の多くは、こんなに沢山の動物が住んでいる環境を想像出来ないかもしれません。
実際今年の春まで神奈川県に住んでいた私にとっても、知床での暮らしは「初めて」尽くしで、これまでは非日常だったはずのことが、突然日常の出来事に変わってしまいました。
「家の裏にはヒグマがいる」生活なんて中々出来ない経験だと思います。

そんな大型哺乳類の宝庫である知床ですが、大きい動物は他にもいます。
今回は冬になるとやって来る「オオワシとオジロワシ」を紹介しましょう。


上空を悠々と羽ばたくオジロワシ
彼らは、北海道より寒い北国から冬を生き抜くために南下してくる、冬鳥と呼ばれる鳥達です。沢山餌を採って春を迎えると、今度は繁殖のために北国へ戻っていきます(※オジロワシの一部は北海道の沿岸や湖沼周辺で繁殖します)。

ちょうど今はワシ達がやって来る季節。
彼らがとても希少な鳥ということもあり、環境省が行っている保護増殖事業の一環として、飛来状況やその数について把握するための調査を行っています。

※保護増殖事業では「国内希少野生動植物種」を対象として、餌条件の改善、繁殖場所の整備、飼育・栽培下の増殖、生息環境等の整備などを行っています。
詳しく知りたい方はコチラをご覧下さい。(EICネットより)
http://www.eic.or.jp/ecoterm/?act=view&ecoword=%CA%DD%B8%EE%C1%FD%BF%A3%BB%F6%B6%C8

調査をしていて、いつも感心するのは、翼を広げると2m以上(オジロワシ:199cm~230cm、オオワシ:220cm~250cm 参考文献:日本の野鳥590 平凡社 )もある彼らの大きさです。存在感のあるクチバシや翼、精悍な顔つき、何度見ても惚れ惚れする格好をしています。


白と黒のコントラストが印象的なオオワシ
分布域が極東の一部に限られることから、欧州の野鳥愛好家達にとっては憧れの存在なのだとか・・・。

ところで2mといったら何を思い浮かべますか?
普通の人間よりは遙かに大きいですね。
ちなみに、韓国の格闘家のチェホンマン選手でも、218cmとオオワシよりはやや小さいようです(短いといった方が正確かもしれませんが)。

この大きなワシ達の調査は、飛来数がピークになる2月頃から3月下旬まで続けられ、彼らの帰郷の様子を見守ることになります。今後も彼らとの出会いを楽しみにして、調査に励みたいと思います。

・・・・・・おまけ・・・・・・・
ワシがいないか目を凝らしていると、ふと目の前に七色に輝く物が・・・・。
驚くほどはっきりと濃い色で、しかも長時間現れ続けました。
あまりの綺麗さに興奮してしまいました。