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北海道地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [北海道地区]

野付半島の今

2009年01月15日
羅臼
今日は、野付半島の最近の様子をお伝えしようと思います。

野付半島・野付湾は、私たち羅臼自然保護官事務所が管轄する巡視場所
(2008年5月26日にAR日記でご紹介しています)の一つです。

先週、安藤自然保護官と野付半島巡視に行ったときに見た一コマです。


これは、野付半島で捕られたある魚が水揚げされた尾岱沼港の様子です。

その魚とは「氷下魚」と書いて「コマイ」という名の魚です。
鱈(タラ)の仲間で、淡泊な白身の魚。北海道の地魚の1つでもあります。
丸干ししたものや干したむしり身で食すのが一般的のようですが、煮付けでもとても美味しい魚です。

1~3月の限られた時期に行われる氷下魚漁。
巡視で訪れたこの日、野付半島の氷下魚漁は豊漁だったようです。


そんな豊漁の氷下魚に舌鼓を打っているのは人間だけではないようです。



氷下魚が水揚げされる番屋近く。

氷下魚の豊漁に野付中のオオワシが集まったかのような、頭数でした。
この日巡視中に確認したオオワシの数は167羽。
初めて見た沢山の氷下魚の水揚げに驚いた以上に、相当数のオオワシに驚きました。


氷下魚を始めとする豊富な餌資源とねぐらなどの豊かな環境が揃う
野付半島・野付湾。
そこへ、越冬するためにロシアから渡ってくるオオワシ。

11月頃から、野付半島を含む北海道(一部は東北地方やそれ以南にも渡来)に越冬のため渡来し、繁殖のために3月頃ロシア方面へと帰って行きます。

日本で越冬するオオワシやオジロワシを、豊かな自然環境が育んでいます。
と同時に、彼らも生態系を支える大きな存在です。

いつまでもオオワシやオジロワシが渡来する越冬地として有り続ける豊かな環境を守り続けていかなければ…と、改めて実感した1日でした。


結氷するトドワラとオオワシを、標高1,005mの武佐岳(写真左)が見下ろしているかのよう。


豊かな自然環境に生きる野生動物が間近に見られる野付半島。
そんな野付半島にぜひいらしてみてください。

※車道にも歩道にも積雪がありますので、お越しの際は足下にお気を付けください。