アクティブ・レンジャー日記 [北海道地区]
サロベツの冬を振り返って(冬の活動報告)①
2009年04月10日
稚内
長い冬がようやく終わろうとしています。原野の雪も大半が溶け、温かそうな地面が見えるようになってきました。ARブログには大変ご無沙汰してしまいました。ごめんなさい(反省)。
2ヶ月以上も前のことになってしまい怒られそうですが、一年後の冬のイベントの宣伝という意味でこの冬実施したふれあい行事をご報告します。
皆さん、2月2日が何の日かご存じでしょうか?
節分?は2月3日。猫の日?は2月22日らしいですよ。
えっ? 彼氏彼女の誕生日?それはあまりにも個人的ですよ~。
実は2月2日は「世界湿地の日」です。
そんなの初耳だという方が多いと思います。
「特に水鳥の生息地等として国際的に重要な湿地に関する条約」
として知られるラムサール条約がイランのラムサールで
1971年2月2日に採択されたことを記念して定められました。
「世界湿地の日」には毎年テーマが設けられ、この日の前後は世界各地で湿地に関する様々なイベントが開催されています。今年のテーマは「上流から下流。湿地がみんなをつなげている。」
このテーマには、湿地を介した上流から下流までの水の流れとその流域に生活する動植物、そして私たち人間とのつながりを実感してもらおうという思いが込められています。
少し難しくいえば、ある川の上流から下流までの地域において湿地が果たしている役割、例えば、水を蓄えることで洪水を防いだり、水質を改善したり、動植物の生息地となったりというような役割の様々な恵みをもらって、動植物や人は生かされ、互いに繋がっているということを知ってもらおうというものです。
ここサロベツ原野でもより多くの人に湿地の環境について知っていただくため、サロベツネイチャーゲームの会と稚内自然保護官事務所の共催でこのテーマに沿ったイベントを企画しました。
イベント名は、「下エベコロベツ川を歩こう!~つながる!湿地と川と私たち」です!
イベントでは、サロベツ湿原に流れ込んでいる河川の一つで、過去に切り替えが行われた下エベコロベツ川河畔を皆でスノーシューを履いて散策し、魚道などを観察しました。「エベコロベツ」とは、アイヌ語で「魚(サケ)の豊富な川」を意味し、一説によるとこれが豊富町の名前の由来となったそうです。
下エベコロベツ河畔から見た青空
そして、サロベツの現状について巨大航空写真を見ながらサロベツ仙人(豊富在住のパークボランティアさん)のお話を聴き、河川切り替えとその後湿原が変化した歴史について勉強しました。サロベツでは、人々の生活を豊かにするために湿地をよい農地に造りかえることが必要でした。そこで河川の切り替え工事を行って原野の水の状態を農地に適するように調節してきました。けれども、湿原ではそれが原因と思われる様々な環境変化も起きています。湿原の生き物たちは困っているのかもしれません。
サロベツ原野の巨大地図を使ったサロベツ仙人の説明の様子
さて、みんなでやったネイチャーゲームは次のとおり。
●カモフラージュゲーム(雪の中で自然の風景に溶け込んでいる人工物を探すゲーム)
隠した人工物の数が間違っていると何度もやり直しになります。普段、自然の中のものに注意を向けることが少ないので目が慣れなくてムズカシイ!
●サロベツ名前あてゲーム(クイズ形式でサロベツの動植物の名前を当てるゲーム)。
選ばれて前に出た人が、背後に掲げられているサロベツの生き物の写真を見た他の人たちからヒントをもらって、背後の写真の生き物をあてます。
ネイチャーゲームの一場面(サロベツ名前当てゲーム)
●つながる!サロベツの運命の赤い糸(赤い毛糸を使ってサロベツの生き物たちの繋がりを体験するゲーム)
このゲームの名付け親は私です! サロベツに棲む動植物たち、キタキツネ、エゾシカ、ヒシクイ、モモンガ、サロベツの草花、アカエゾマツ、ヒシクイ、ヤチネズミ、サケなどなど・・・。みんな一人一人何かの生き物になり、生き物の間に「食べる、食べられる」、「お世話をしている、お世話になっている」などの関係があれば運命の赤い毛糸で次々に参加者の皆さんを繋いでいきます。全員が誰かと繋がりを持った後、湿原には様々な事件が起こります。「沼がなくなった」、「川に高いダムができた」、「アカエゾマツの森が切られた」、「水が干上がった」・・・。そして、皆で目をつむり、各事件で自分は直接影響を受けると思われる生き物役の人に糸を引っ張ってもらいます。すると、不思議。ピンッ、ピンッと糸の震動や張り詰めた感じが、他の生き物たちにも波及して伝わってくるのが分かります。みんな、互いに深く繋がっているのが実感できました。
イベントをとおして、参加者の皆さんからは河川切り替えの歴史を詳しく知ることができてよかった、人の生活と湿原の環境の調和を保ちたいという想いを共有できる人達と知り合えてよかったなどの感想が寄せられました。私たち人間の暮らしと湿原の環境。両方が近接するサロベツで共存はとても難しい課題です。 でも、この課題を考える続けることを諦めないように、このようなイベントを来年も企画したいと思っています。
2ヶ月以上も前のことになってしまい怒られそうですが、一年後の冬のイベントの宣伝という意味でこの冬実施したふれあい行事をご報告します。
皆さん、2月2日が何の日かご存じでしょうか?
節分?は2月3日。猫の日?は2月22日らしいですよ。
えっ? 彼氏彼女の誕生日?それはあまりにも個人的ですよ~。
実は2月2日は「世界湿地の日」です。
そんなの初耳だという方が多いと思います。
「特に水鳥の生息地等として国際的に重要な湿地に関する条約」
として知られるラムサール条約がイランのラムサールで
1971年2月2日に採択されたことを記念して定められました。
「世界湿地の日」には毎年テーマが設けられ、この日の前後は世界各地で湿地に関する様々なイベントが開催されています。今年のテーマは「上流から下流。湿地がみんなをつなげている。」
このテーマには、湿地を介した上流から下流までの水の流れとその流域に生活する動植物、そして私たち人間とのつながりを実感してもらおうという思いが込められています。
少し難しくいえば、ある川の上流から下流までの地域において湿地が果たしている役割、例えば、水を蓄えることで洪水を防いだり、水質を改善したり、動植物の生息地となったりというような役割の様々な恵みをもらって、動植物や人は生かされ、互いに繋がっているということを知ってもらおうというものです。
ここサロベツ原野でもより多くの人に湿地の環境について知っていただくため、サロベツネイチャーゲームの会と稚内自然保護官事務所の共催でこのテーマに沿ったイベントを企画しました。
イベント名は、「下エベコロベツ川を歩こう!~つながる!湿地と川と私たち」です!
イベントでは、サロベツ湿原に流れ込んでいる河川の一つで、過去に切り替えが行われた下エベコロベツ川河畔を皆でスノーシューを履いて散策し、魚道などを観察しました。「エベコロベツ」とは、アイヌ語で「魚(サケ)の豊富な川」を意味し、一説によるとこれが豊富町の名前の由来となったそうです。
下エベコロベツ河畔から見た青空
そして、サロベツの現状について巨大航空写真を見ながらサロベツ仙人(豊富在住のパークボランティアさん)のお話を聴き、河川切り替えとその後湿原が変化した歴史について勉強しました。サロベツでは、人々の生活を豊かにするために湿地をよい農地に造りかえることが必要でした。そこで河川の切り替え工事を行って原野の水の状態を農地に適するように調節してきました。けれども、湿原ではそれが原因と思われる様々な環境変化も起きています。湿原の生き物たちは困っているのかもしれません。
サロベツ原野の巨大地図を使ったサロベツ仙人の説明の様子
さて、みんなでやったネイチャーゲームは次のとおり。
●カモフラージュゲーム(雪の中で自然の風景に溶け込んでいる人工物を探すゲーム)
隠した人工物の数が間違っていると何度もやり直しになります。普段、自然の中のものに注意を向けることが少ないので目が慣れなくてムズカシイ!
●サロベツ名前あてゲーム(クイズ形式でサロベツの動植物の名前を当てるゲーム)。
選ばれて前に出た人が、背後に掲げられているサロベツの生き物の写真を見た他の人たちからヒントをもらって、背後の写真の生き物をあてます。
ネイチャーゲームの一場面(サロベツ名前当てゲーム)
●つながる!サロベツの運命の赤い糸(赤い毛糸を使ってサロベツの生き物たちの繋がりを体験するゲーム)
このゲームの名付け親は私です! サロベツに棲む動植物たち、キタキツネ、エゾシカ、ヒシクイ、モモンガ、サロベツの草花、アカエゾマツ、ヒシクイ、ヤチネズミ、サケなどなど・・・。みんな一人一人何かの生き物になり、生き物の間に「食べる、食べられる」、「お世話をしている、お世話になっている」などの関係があれば運命の赤い毛糸で次々に参加者の皆さんを繋いでいきます。全員が誰かと繋がりを持った後、湿原には様々な事件が起こります。「沼がなくなった」、「川に高いダムができた」、「アカエゾマツの森が切られた」、「水が干上がった」・・・。そして、皆で目をつむり、各事件で自分は直接影響を受けると思われる生き物役の人に糸を引っ張ってもらいます。すると、不思議。ピンッ、ピンッと糸の震動や張り詰めた感じが、他の生き物たちにも波及して伝わってくるのが分かります。みんな、互いに深く繋がっているのが実感できました。
イベントをとおして、参加者の皆さんからは河川切り替えの歴史を詳しく知ることができてよかった、人の生活と湿原の環境の調和を保ちたいという想いを共有できる人達と知り合えてよかったなどの感想が寄せられました。私たち人間の暮らしと湿原の環境。両方が近接するサロベツで共存はとても難しい課題です。 でも、この課題を考える続けることを諦めないように、このようなイベントを来年も企画したいと思っています。