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北海道地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [北海道地区]

サロベツの冬を振り返って(冬の活動報告)②

2009年04月10日
稚内
 前回に引き続き遅い活動報告ですが、春に続く生き物話もありますのでどうぞ最後までお読みください。

 稚咲内砂丘林は、サロベツ原野の海岸砂丘帯のわずかな土壌の上にできた森林で、森林と沼が帯状に交互に連なり、湿原とはまた違った環境を持っています。夏の間は草木が密生して迷いやすい上、蚊やブヨのような人を刺す生き物が沢山いたり、ヒグマ出没の痕跡もあったりして、なかなか入りづらい場所となっていますが、冬ある程度森の中に入りやすくなります。

 普段は見られない稚咲内砂丘林の自然を見て感じてもらい、その大切さを知ってもらおうと、宗谷支庁、豊富町役場、稚内自然保護官事務所との共催で2月28日土曜日に稚咲内砂丘林でスノーシューハイクを開催しました。
参加した皆さんは二十名ほど。現地の自然に詳しいパークボランティアさんに講師をお願いし、大人中心のクマゲラ班、子ども中心のモモンガ班に分かれて砂丘林を散策しました。
 森の中に入ると、ふんわり雪をまとったツルアジサイのドライフラワーがどこか優雅な感じを漂わせていました。そして、耳が長めのキツネのようにユニークな形をしたオオカメノキの冬芽はみんなの人気者でした!


雪衣をまとったツルアジサイのドライフラワー


植物の他には、そこかしこにクマゲラのつつきあとを見ることができました。幹に穴が開けられた木の根元周辺にはクマゲラがつついた時に出た木っ端が飛び散っており、クマゲラが餌を探して意欲的に木をつついた様子が想像されました。
ユキウサギがカンバ類の木の枝先をかじった跡を見つけて、子どもたちと一緒に同じ枝先を折らないように注意しながら歯の間に挟んで見ました。繊維の固さが伝わってきて、ユキウサギの歯がいかに鋭く丈夫かを実感することができました。


ユキウサギのぬいぐるみを使ってウサギの生活を説明


その他には、モモンガの巣穴、そして、数頭のエゾシカの群れに出会うこともできました。私が個人的に見つけて嬉しかったのは写真の虫の卵です。シラカンバ(ダケカンバ?)の梢に丁寧に二列に産み付けられたマーブル模様の卵。
どうやらカメムシの卵のようです!さて、春にはどんなカメムシくんが孵化することでしょう! 楽しみです。


カンバ類の梢に規則正しく2列に産み付けられたカメムシ(?)の卵 春が楽しみ!

         
 冬の稚咲内砂丘林をたっぷり楽しんだ一日でした。
沢山の人数で頻繁に入ることは砂丘林の自然にとって好ましいことではないので、入る時期や回数には十分配慮しなければなりません。しかし、こうして年に一回みんなでじっくり砂丘林の自然を観察する機会を持つことで、生き物たちの棲みかであるこの場所をずっと先まで残していこうという気持ちを多くの人たちと共有していきたいと感じました。