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北海道地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [北海道地区]

羅臼の四季 【春&夏編】

2009年04月22日
羅臼
昨年5月1日から、市街のとある場所で週1回定点写真を撮影しています。

羅臼に訪れた方々は、その時だけしか羅臼の季節を楽しむことはできません。せっかく羅臼に住んで羅臼で仕事をしているのだから、四季の移り変わりを残そう、そして、訪れた方々にその季節以外の羅臼の顔を少しでも紹介できればと思い、始めたのがきっかけでした。

また新たな四季が巡ってきます。
そんな訳で今回から2回に渡って、羅臼の特徴的な季節を、写真を交えつつ私なりにご紹介してみようと思います。


「春」


ようやく春らしさを感じられるようになったのは、5月の連休くらいでした。
一足早く春の訪れを告げてくれたのは、透き通るような青の花とひかえめな淡い緑の葉のエゾエンゴサク。残雪の隙間からこっそりと顔をのぞかせたような姿が印象的でした。
そんなエゾエンゴサクやキタミフクジュソウが合図をしたかのように、次々に顔を出し始めた草花や若葉たち。そこに集まる小鳥のさえずり、雪解けの流水の音まで生き生きと聞こえました。

厳しい冬を越えた動植物との出会いの季節であり、流氷と共に去っていくオオワシやアザラシたちとの別れの季節でもありました。
しかし、まだ山の残雪では春スキーが楽しめるほど。登山道状況調査にも冬装備が必須でした。

知床半島北西側の斜里町ウトロと、南東側の羅臼町をつなぐ知床横断道路が開通し、お隣さんとの行き来が近くなるのもちょうどこの頃です。



「夏」


太平洋から吹き込む湿った南東の風が知床連山にあたって、羅臼にたくさんの雨をもたらします。そのため、夏の羅臼は雨が降ったり霧がかかる日や時間が多く感じられます。
知床連山を抜けた風は、西側のウトロに乾燥した風と高温をもたらすので、羅臼では薄暗い霧がかかっていても、峠を越えた反対側ウトロではピーカン、なんてこともよくあるのです。

草木の緑は気温の上昇とともに色濃くなり、雨上がりでさらに艶を増すようです。
海も鮮やかさを増します。羅臼昆布が海の中で森をつくっているからです。
海岸の昆布番屋では連日の作業に大忙しです。

夏の知床に多くの方が訪れ、このころ私たちの業務も忙しさを増し、動き回る日々。

そんな慌ただしい人間の様子を沖からのぞくのは、シャチやクジラ。根室海峡に現れるその姿は陸から確認できることも。
また山からは、ヒグマが見下ろしています。高山帯から海岸部まで多様な自然環境が彼らの営みを支えます。

そんな羅臼の夏は白霧に包まれながら、足早に過ぎていこうとしています。



****次回は【秋&冬】編をお届けします。****