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北海道地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [北海道地区]

「羊蹄山の春」

2009年06月11日
洞爺湖
毎回のことだけど久しぶりの更新です…。

6月3日(水)、山開き前に羊蹄山巡視へ。本格的夏山の一発目でいきなり羊蹄。大丈夫なのか…。5時30分出勤、5時50分洞爺湖ビジターセンター出発。6時30分真狩登山口到着、官用車1台をデポし6時45分、喜茂別登山口着。入念なストレッチのあと7時00分スタート。

羊蹄山には4本の登山道があり、年間1万人弱の登山者の大半は真狩ルートか倶知安ルートを利用する。今回の喜茂別ルートはかなりマニアック。個人的にはあまり人間の気配が感じられない登山のほうが好きだ。

※平成20年度、入山者名簿からのデータ。
真 狩ルート:約4,000人
倶知安ルート:約3,000人
京 極ルート:約800人
喜茂別ルート:約200人

喜茂別登山口の標高は360m。ピークは1,898mだから、約1,500mをほぼ直登することになる。怠けた身体にはなかなか堪えるが、心が折れないよう無心で登る。

標高1,400mを過ぎたあたりから登山道脇に残雪が目立ちはじめ、1,500m手前で登山道は完全に、巨大な雪渓に隠されてしまった。かなり斜度もある。滑落しないよう注意しながら登りつつ、スキーを担いで来なかったことを後悔した。

雪渓と、雪解け水がザーザー流れる沢登りのような登山道が交差を繰り返す。ルートを見失いやすいので注意。自信がなければ引き返したほうがよい。さらにこの日は、いきなりガスが下り始めてきた。一気にアドレナリンが放出され胸が躍る。

雪渓を越えガレ場を抜けるとピークの標識が見えた。11時30分、1,898mピーク到達。

(浅田ARの男前な後ろ姿)



稜線の風は冬そのもので、ダウンとニット帽で防寒。時折10~15mくらいの突風が吹く。飛ばされないように注意。お鉢(山頂火口)にもしっかりと残雪。うーん、まだまだいける。

(稜線からお鉢を望む:浅田AR撮影)



時計回りにガレ場の稜線を歩き、12時00分、9合目避難小屋到着。まだ1階入り口は閉じられており、梯子をよじ登って2階出入り口から中へ。炭水化物を補給し、12時50分下山開始。下りは真狩ルート。4合目と3合目の中間地点は地滑りの跡があり、登山道を見失いやすくなっているので、迷わないよう注意が必要。

(雪渓を下る:浅田AR撮影)



14時50分、真狩登山口着。出口手前で4~5羽のエゾフクロウに遭遇(群れ?)。警戒しながらもなかなか飛び立たない。荷物の軽量化を図り、望遠レンズを持っていなかったのが悔やまれた。

参考まで…
【登り】(喜茂別ルート)4時間30分
【下り】(真狩ルート)2時間00分
【足下】夏用登山靴 ※雪上歩行に自信がなければ要アイゼン
【飲み水】2リットル
【防寒着】ダウン、手袋、ニット帽
【登山者】0人
【2日後】筋肉痛

登山シーズン開幕ですね。羊蹄山でも年々、遭難騒ぎの件数が増加しています。自身の体力を考慮して行程には余裕を持ち、危険を感じたら無理せず引き返すよう心がけて下さい。