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北海道地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [北海道地区]

ウチダザリガニ春防除in然別湖

2009年06月24日
上士幌
前回の続きです。

 ウチダザリガニ春の捕獲大作戦を鹿追町および北海道ネイチャーセンターとともに先週行いました。6月16日から19日までかご罠を使った捕獲を行い、20日はダイバーによる捕獲でした。
 防除活動には大雪山パークボランティアの方々や十勝支庁、帯広百年記念館、上川自然保護官事務所などから援軍が駆けつけてくれたおかげで作業を円滑に進めることができました。この場を借りてお礼申し上げます。20日のダイバーさんも寒い中水中での作業お疲れ様でした。

 さて、この然別湖でウチダザリガニを捕まえなければいけない理由はただ一つ。他の場所では二ホンザリガニを守るためであるとか水草の被害を食い止めるためであるとかなのですが、然別湖ではミヤベイワナ(オショロコマ亜種)の繁殖地域に入らせないためであります。然別湖の二ホンザリガニはすでに絶滅したと考えられ、守るべきものはミヤベイワナということになります。
 ウチダザリガニの食性は食えるものならなんでも、時には共食いもします。魚も植物も食べてしまうので逃げることができないミヤベイワナの卵が狙われるとひとたまりもないわけです。そのようなわけで捕獲作戦は続けて行かなくてはならない状況です。

 今回の作戦では合計2000超のウチダザリガニを捕獲できました。それでも昨年実績の8割程度の成果。これが数年来の防除効果で絶対数が減ってきた、と考えるのは早計で、実はかご上げ三日目の19日に一日あたりの個体数では今までにない約900匹のザリガニが捕獲されてしまったのです。前半二日間は水温の低さもあってザリガニが活発に行動していなかった可能性もあるので、秋の防除作戦に向けた作戦を鹿追町と北海道ネイチャーセンターのスタッフとともに練っていかなければならないでしょう。

 さて捕獲されたウチダザリガニですが、特定外来生物であるので生きたままの移動は禁じられています。したがって、計測が終われば塩茹での刑です。


茹でます

完成です

食べます

 試食した感想を皆さんに聞いてみたところ、「思いのほかおいしい」とのこと。しかし「個体によって当たり外れがある」とも。
 このウチダザリガニなんですが、阿寒湖などで食材として利用されている事例はあります。何とか利用できないものかという声も聞かれます。しかし、駆除した個体を利用するのは良いとしても、需要ありきで商業ベースに乗せようとするのには反対です。もともと居てはならない生き物ですし、然別湖の場合はミヤベイワナを保護するという至上命題がありますので安定供給の道を開いてはならないと思っています。

 秋の大作戦は10月です。