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北海道地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [北海道地区]

開幕戦

2009年06月30日
洞爺湖
「開幕戦」


6月20日(土)洞爺湖にて、ウチダザリガニをはじめ、洞爺湖周辺地域の自然や生き物、環境調査などで日頃からお世話になっている酪農学園大学 環境システム学部 生命環境学科のフィールド実習を行った。

中島のシカ調査、洞爺湖の水質調査、透明度調査、ウチダザリガニ防除、カヌーの組み立て・操作など、フィールドでの調査方法や必要なスキルを実際の現場で学ぶ。

こんな授業ばかりなら、僕も毎日大学に行っただろう。

僕はやっぱりザリガニ担当。防除認定団体である地元NPO、UWクリーンレイク洞爺湖のダイバーに協力をいただき、水中カメラと陸上モニターをつないで水中環境やウチダザリガニの捕獲シーンをライブ中継する。それから今シーズン初のカゴ捕獲に個体計測。



水中のライブ映像。足下からの生中継を真剣に見入る。



個体計測。まだ水温が低く、捕獲数はさほど多くなかった。



洞爺湖のウチダザリガニ防除について少し。

サミット効果と言ってよいのかどうなのか、昨夏は洞爺湖の自然環境ネタとしてウチダザリガニが頻繁に取り上げられ、新聞やテレビの取材も多かった。防除認定の申請や、ウチダザリガニを使った環境学習会、修学旅行での防除体験などの依頼が増えたと同時に、捕獲カゴからのザリガニの盗難や、無許可での潜水捕獲を試みるダイバーも増えた。

そんな事態を受け、2009年2月「洞爺湖生物多様性保全協議会」が発足。ローカルルールを作り、防除者の管理や調整を図るほか、環境教育や普及啓発を行い、将来的には洞爺湖一円の生物多様性を保全することを目的として、地元自治体、教育委員会、観光協会、漁業協同組合、大学など、様々な団体が連携を図っている。

ここで大切なのは方向性だ。根本は「生物多様性の保全」「外来生物の防除」でなければならない、というのが同協議会の方針。

こういった軸ずれのない環境保全活動により、身近な自然が正常に保たれ、その魅力により地域も活性化するという流れを生み出すことが大切。効果が現れるまでかなりの時間が必要だが、目先の利益ばかり追っていては何も変わらない。

堅い話になってしまったが、ともかく、水温の上昇とともにウチダザリガニの活性も急激に上がってくる。シーズン最初のカゴ入れの時、餌となる魚のアラのにおいが染み込んだ磯くさい捕獲カゴを広げた瞬間、「今年も開幕か…」という気持ちでいっぱいになる。頑張らねば。




中島と羊蹄山をバックに。この人数で攻められたらザリガニもたまらない。