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北海道地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [北海道地区]

オロフレ山の登山道状況

2009年07月02日
洞爺湖
オロフレ山のパトロールを行ってきました。オロフレ峠も道道のゲートが6月頭に解除され、多くの登山者や観光客で賑わってきました。その時期一番目立つのがシラネアオイの花。登山のガイドブックや、写真愛好家の中では広く知られるようになり、今ではこの花を目当てに来る人も少なくなくありません。現在はシラネアオイの見頃は過ぎましたが、頂上付近までその大輪を歩道から眺めることが出来ます。




シラネアオイ(白根葵)が登山道沿いに開花。本州ではここまでの群落はなかなか見られない。


 オロフレ山は1230.8m。標高930mのオロフレ峠から頂上へは、往復約3時間30分ほどです。もちろん標高はそれなりにあり、峠ではガスがかかっていることが多く、いつも冷涼で湿った空気が抜けるので、多くの高山植物を見ることが出来ます。そのような貴重な場所で大きな問題が起きています。
 

 まずは、登山道の浸食化と複線化、そして脇道です。雨水や雪解け水で、もろい土は削れ、道は深く掘れたり、広がったりします。もう1つの要因は人為的なことでおきます。それはオーバーユースとそれに伴うストックです。簡単に車で一気に標高1000m近くまで上がることが出来、頂上までは慣れている人ならば手軽に登れ、多くの人がたくさんの花を見に訪れます。また、多くの登山者が使用するストックにより不用意に登山道外や、崩れやすい箇所をついてしまったりすることで登山道は荒れていきます。さらには、そうした荒れた道を避けるために新たな道が作られていきます。ストックにはぜひキャップを着用して自分への負荷だけでなく、なるべく山へも負荷のかからない心がけが必要です。このような問題はここに限らず、日本各地の山で良く耳にします。


掘れてしまった登山道。右上は、その掘れた道を避けてできた新たな道。階段状になっている。

 また、特にこのオロフレ山で問題になっているのが、シラネアオイの花をカメラに収めたり、近くで眺めたりするために、ロープが張っているにもかかわらず、登山道からわざわざ外れ群落の中に入っていく人がいることです。シラネアオイの群落地には、脇道がいくつも作られてしまいました。そうしたことでいずれ、笹が侵入したり、靴についていた外来種の種が着床したりする問題が必ず出て、いま可憐に見せるシラネアオイの花も数が少なくなるかもしれません。


写真左下をよく見ると・・・斜面がきつい場所にもシラネアオイの群落へ入る脇道ができてしまった。

マナーを守れない人がいることに悲しくなります。将来の自然の事を考えてみましょう。みなさんの子孫がこの大輪を見て楽しめることができるでしょうか。

2番目にゴミの問題です。登山道にはゴミはそう見かけませんが、オロフレ峠にはトイレが常設(夏季)されているにもかかわらず草の茂みにティッシュ(汚物)があったり、たばこの吸い殻が落ちています。
 
 これから7月に入りチシマフウロ、ウコンウツギ、エゾキスゲ、コケモモ、ベニベナイチヤクソウなどなど、たくさんの花が出迎えてくれます。ぜひマナーを守って山歩きを楽しんでください。また、オロフレ山は、標高も高く天候が変わりやすいので、安易に軽装で登らないようにしてくださいね。

 パトロール引き続き頑張っていきます!