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北海道地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [北海道地区]

おしりーズ

2009年07月27日
羅臼
だれのおしり???

風に揺られるシコタンタンポポ。
その上で、もぞもぞと動くおしり…
ふわふわの真っ黒パンツが目立っていますよ!

そんな、思わずなでなでしたくなるかわいいおしりの正体は
「ノサップマルハナバチ」でした。

「ノサップマルハナバチ」は北海道の道東、その中でも限られた場所だけにしか生息しない、とっても希少なハチなんです。
全身を黒い毛に覆われ、胸とお腹に黄色の帯がはいっているのが特徴です。


では、これはだれのおしりでしょう???

こんどは真っ白パンツ!
最近よく新聞なんかで話題になってるアイツです。

そう。「セイヨウオオマルハナバチ」
話題になっているその訳は、このハチが外来種だからです。
彼らがもともと住んでいた地域はヨーロッパ。
温室トマトの授粉用にと輸入されたのが、日本にやってきたきっかけでした。
ですから、私たち人間の手で連れてきた、というわけですね。
美味しいトマトを作るために、農家さんのところで飼われていたセイヨウオオマルハナバチ。
でも、いつのときか野外に逃げ出してしまったのです。そして野生で巣をつくり、コロニー(女王バチを中心とした1家族)をつくり、どんどん増えていきました。

もともと日本にいるハチと比べて、セイヨウオオマルハナバチにはこんな特徴があるんです。
・1つのコロニーから生まれる女王が多い
 (日本にもともといるマルハナバチの約4倍)
・強い力
 (巣をのっとってしまう力や巣を作る場所の争いに強い)
・ミツの吸い方
 (舌が届かないような形の花でも横から穴をあけてミツを吸ってしまう)

こんな強いハチが日本で増えていったら、もともと日本にいたマルハナバチたちが、今まで通り生活していくのが難しくなってしまいます。

特に、生息場所が限られている黒パンツの「ノサップマルハナバチ」は
数が少ないので、白パンツの「セイヨウオオマルハナバチ」が増えると
「ノサップマルハナバチ」は増えることが難しくなって、やがて絶滅してしまうのではないか…と心配されています。

そんなことが起きないよう、今日本にいる「セイヨウオオマルハナバチ」が
これ以上増えないように、そして、やがて日本に「セイヨウオオマルハナバチ」が1匹もいなくなる日を目指して、私たちは日々、白いおしりを追いかけています。

「ノサップマルハナバチ」と「セイヨウオオマルハナバチ」は黒い体の
胸とお腹に黄色い帯というよく似た特徴がありますが、
「ノサップマルハナバチ」は黒パンツ、
「セイヨウオオマルハナバチ」は白パンツ、と覚えてくださいね。



「おしりならあたしも白いけど?!」

特別出演 エゾシカのお嬢さんでした。