北海道のアイコン

北海道地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [北海道地区]

オオハンゴンソウ駆除作戦

2009年08月24日
支笏湖
気がつけばお盆も過ぎ、北海道は短い夏が終わろうとしています。
空も風もすっかり秋の気配。

みなさんこんにちは、支笏湖AR西川です。

「最近AR日記の更新がされていいけど・・・」
との嬉しい(?)お声を頂戴し、慌ててPCに向かっております。
清掃活動・国立公園指定60周年行事・巡視報告・自然観察会・・・ネタには困っていないのですが・・・
頑張ってチョコチョコ更新します。


さて、今回は7月26日(日)と8月23日(日)に行ったオオハンゴンソウ駆除作戦の様子をお伝えしようと思います。


オオハンゴンソウとは?

環境省で『特定外来生物』に指定されている植物です。
明治時代に園芸植物(観賞用)として持ち込まれた北アメリカ原産の植物。
道路脇などに群生していることが多く、皆さんもよく目にしているのではないでしょうか。
花の見た目はヒマワリの小さい版のような感じ。
バトミントンの羽根(シャトル)の形にも似ています。
漢字で書くと 大反魂草。
花の形が在来種の反魂草に似ていて、反魂草よりも大きいので大反魂草。
何とも単純な名付け方・・・と思うのは私だけでしょうか?

ちなみに反魂草とは、江戸時代には薬として栽培されており、その強い臭いから魂を呼び戻す薬だとして付けられた名前だとか。
他にもその昔、漢の武帝が夫人が他界したことを悲しみ、反魂香というお香をたいたところ、煙の中に夫人の面影が見えたという言い伝えもあるようです。
お盆の頃に開花するので、魂が帰ってくるなんて意味も関係あるのでしょうか?

北海道の人なら、有名なテレビドラマ「北の国から」のあのシーンが記憶にあるのではないでしょうか・・・
そうです、金銭的に余裕のなかった正吉が蛍にプロポーズするときにバラの花束の代わりに摘んで贈った黄色い花がまさしく「オオハンゴンソウ」なのです。
正吉は気づかぬうちに外来種駆除を行っていたのですね(笑)


さてさて前置きが長くなりましたが、このオオハンゴンソウという植物(外来生物全般に言えることですが)は、とても繁殖力が強く、在来の植物の生息域を駆逐し生態系に被害を及ぼすとして全国でボランティアの協力などにより抜き取り作業を行っています。

ここ支笏湖では、

第1回目の7月26日(日)はパークボランティア(PV)の年間行事として9名のPV・自然公園財団職員らとともに、小雨の降るなか国道276号丸山分岐付近において約2時間で80kgのオオハンゴンソウを抜き取りました。この時はまだ開花しておらず、葉の似ているヨモギと間違えないように注意しながらの作業でした。
道路脇の急斜面での作業はなかなか大変でした。
みなさんドロドロになりながらも、一生懸命に頑張ってくださいました。
ありがとうございました。


そして第2回目は8月23日(日)市民に呼び掛けて行いました。

自然公園財団の職員からオオハンゴンソウについて説明を受けている様子

この日は市民11名・自然公園財団職員ら合わせて総勢18名で美笛の林内で行いました。約2時間でなんと305kgもの抜き取り。
この時期はとっくに水が引いているはずの場所ですが、今年は例年になく支笏湖の水量が多く、まだ林の奥まで湿原のようになっていました。
おかげで抜き取りやすかったり、アマガエルやエゾアカガエルがたくさん見られたりして良かった反面、一度にたくさんの人が入ったことによるインパクトが懸念されます。
参加者の方は「こんなに群生しているとは・・・」「根が強いので引き抜くのは大変!」と言いながらも、皆さん地元の自然を守るために汗水流して頑張ってくださいました。本当にありがとうございました。
お花畑のように群生する場所
腰をかがめての抜き取り作業はツライです・・・
皆さん腰は大丈夫でしょうか?
私は痛いです(汗)



成果物と一緒に。
汗だくドロドロで疲れていますが、皆さん満足気な表情ですね。

色々な問題を抱えながらの駆除作業ですが、どんなに大変でも人の手で持ち込んだものは人の手で駆除する(元に戻す)しかないのだと思います。
人間の欲望を満たすために安易に外国(他の地域)からモノを持ち込む行為。
本当に必要なのでしょうか?
皆さんも外来種問題について少し目を向けて考えてみてください。




大阪から北海道に移住して住み着いた、いわゆる『外来種』である私が問いかけるのもナンですが・・・笑