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北海道地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [北海道地区]

釧路湿原オオハンゴンソウ刈り取り作業

2009年08月28日
釧路湿原
釧路湿原の一角に人知れずできてしまっていたオオハンゴンソウの大群落を発見したのは8月18日のこと。
釧路川沿いの河川敷の一角数百メートルに渡り行けども行けども特定外来生物オオハンゴンソウの黄色いお花畑。

私は過去のハードな駆除体験(対象の種類は違いますが)がトラウマとしてあるので、「キク科の外来植物群落とはもう戦わない」と決意し、道路沿いに侵入した株を見つけては抜く、というささやかな抵抗もしていたのですが・・・甘かったようです。



オオハンゴンソウの花。
詳細は8月24日の支笏湖ARさんの記事でも(「北の国から」のプロポーズエピソードも含め)説明されているので省略しますが、日本各地の自然地域に入り込み、駆除が行われているものの抜き取りで残った根から新たに芽が出てしまうなどの理由から駆逐はかなり難しく、作業者を悩ませています。
これ!といった効果的な防除法はまだ見出されていないようです。

でもせめて、ここで膨大な種が生産されることを防ごう!
ということで、8月28日、環境省職員のほか地元自治体やパークボランティアさん、学生ボランティアさんなどと一緒に、総勢20名で花の刈り取りを行いました。

各自手鎌、大ガマ、剪定バサミ、刈り払い機を動員してオオハンゴンソウと対決。
20人でひたすら刈り取り作業。
午後からは雨の予報、ということも手伝って早期決戦を目指してもくもくと刈る、刈る、刈る。



オオハンゴンソウの密度の濃いところ(希少な植物を巻き込む心配のないところ)は機械でどんどん刈り進む。



密度の薄いところや他の植生への配慮が必要な場所は、手刈り部隊ハンゴンソウだけを丁寧に刈り取り。
花畑の中での作業は「ヒマワリ迷路」の中でウロウロしているようにも見えます。
でも手刈り部隊も迷わず高スピードでどんどん刈り進みます。

・・・といった具合で刈ること2時間。予想より早くこの群落の刈り取りを終了する事ができました。マンパワーは本当に素晴らしいです。

とはいえ、今回の作業の効果は種の生産を減らすという点のみ。
地中に残された根から、また来年も同じようにこの場所に「お花畑」ができることは必至。
今後の作戦はこれから考えていかなければなりません。


外来生物の防除の主目的は、生態系への影響を何とかする点にありますが、今回のオオハンゴンソウの大群落のような場合、もっとシンプルな動機も大きいと感じました。

景色が、本当に大きく変わって見えるのです。

釧路湿原を訪れた方が、オオハンゴンソウの花畑を「釧路湿原の自然の景色」と喜び感動をもって眺める状況となってしまったら哀しいことだな、と。

本来の自然と思って眺めている景色が本当にそうであり続けるように。
少し外来生物の存在を意識してもらえたらと思います。



<今回の作業に参加・協力いだいた方々>
標茶町役場
塘路湖エコミュージアムセンター
釧路湿原国立公園パークボランティア
FAネットワークキナシベツワークキャンプ参加学生の皆さん

ありがとうございました