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北海道地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [北海道地区]

道しるべ

2009年10月02日
羅臼
ややっ!!
とある橋の上で、オレンジに輝く球体を発見!
なんだこれ?!



よく見ると、その先にも点々と、落ちています。
まるで、道しるべのよう。

もうお気づきですね?!
そう、「イクラ」です。

でも「イクラ」って落ちてるもの?!
まさか、サケやマスが地上を歩くはずもないし…
瓶に入っていたり、ご飯の上にのっているイクラしか見たことがなかった私も、知床に来る1年半前までは、まさか道の上にイクラが落ちているなんて、とても想像すらできませんでした。

この時期、サケやマスを待っているのは、人間だけではありませんよね?
冬眠前のヒグマにとって、サケやマスはこの時期の重要な栄養供給元です。
川でマスを捕ったヒグマが、場所を変えて食べようとしたのか、山へ
運んでいったようです。
その時に腹から卵がぽろぽろこぼれ落ちていたのでしょう。
ヒグマが歩いていった先には、まるで道しるべのように点々と落ちていました。


夏が足早に通りすぎていった知床の川に、今、たくさんのカラフトマスや
シロザケが帰ってきています。
大海を生き抜いた成魚が生まれた故郷に戻り、新たな命を残すためです。
写真はカラフトマスのメス。
体はもうボロボロ…。
それでも、残る力を振り絞って最後の最後まで、必死に生き抜きます。

新たな命を残したサケ・マスの命は、他の生き物を育む。
命の循環。
自然の中で命はつながっていることを改めて感じた、「道しるべ」でした。


***釣りをされる方・海岸トレッキングをされる方へ***
サケ・マスの最盛期は、ヒグマにとってもご馳走の時期です。釣りに夢中になっていて、気づかずヒグマと接近!なんてことがあるかもしれません。
ヒグマとの遭遇を避けるために、ヒグマ出没情報の収集、薄暗い時間の行動を避ける、音を出しながら行動、ゴミは必ず持ち帰るなど、注意が必要です。
また、釣った魚の放置は絶対にしないでください。腹を割いて卵だけを抜き取り、死骸を放置するということが釣り場で起こっています。ヒグマに餌付けをしてしまうことになり、他の釣り人や海岸利用者だけでなく、地元の漁業関係者を危険に陥れることになりかねますので、絶対にやめてください。
川の近くを通る時は、もしかしたら食事中のヒグマがいるかもしれない、ということを必ず頭にいれて、通行しましょう。
ヒグマに出会わないよう心がけることが第一ですが、万が一ヒグマに出会ってしまった時の対処法などを知った上で、安全に、釣りや海岸トレッキングを楽しみましょう。

詳しくはこちらよりご覧になれます
先端部地区利用の心得