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北海道地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [北海道地区]

空から見た釧路湿原

2009年10月09日
釧路湿原
先日、釧路湿原を空から撮影する作業に立ち会うチャンスがありました。

空から撮影、というとすぐに思い浮かぶのはヘリコプターやセスナに人が乗りこんで撮影する方法でしょうか。
しかし今回飛んだのは我々人間ではなくこちら、「バルーンカメラ」。



バルーンの下にデジタルカメラ等を取り付けて撮影する機材です。
(赤丸印のところにカメラがついています)
リモコンで撮影向きやシャッターを操作できる仕組みで、カメラの画像を地上のPCモニターで受信しながら作業できます。

今回は釧路湿原周辺の4カ所で業者さんにこのバルーンカメラを上げて頂き撮影を行いました。
バルーンは地上とワイヤーで繋がっており、ヘリコプターのように自由自在に飛び回る、というわけにいかないので、ポイントごとにバルーンを上げ下ろししました。
またバルーンが木などに引っかからないように、上げ下げの作業には開けている駐車場やキャンプ場の敷地などを使わせて頂きました(オレンジ色の大きなバルーンはとても人目を引いていました)。

果たしてその実力やいかに!
私もリモコンでの撮影に挑戦しましたので、今回撮影した写真を使って釧路湿原を空からご紹介します。




細岡展望台の駐車場から釧路川を撮影しました。
細岡展望台は釧路川が蛇行しながら釧路湿原を流れていく景色が見られることで人気がありますが、上空からだとこの蛇行がよりはっきり見えます。
釧路湿原を紹介する場面で「いかにも釧路湿原らしい景色」というと真っ先にこのような写真を資料として求められる場合が多いので、是非とも欲しかったショットです(自然保護官 談)。

この写真では、蛇行のカーブの途中から細い直線的な河道が湿原に延び得ているのが見えます。
湿原周辺は陸路がまだ不便だった戦前は水運が流通に大きな役割をはたしていたようですが、これもその頃に作られたものなのでしょうか?湿原北側の丘陵地にあった民家では近くの川から家の側まで水路を引き、生活の足にしていたといいます。

(上空とは角度は異なりますが、展望台からも蛇行を含む釧路湿原の眺めが十分堪能できます。是非お立ち寄りを!)




次は、釧路湿原の特別保護地区内の核心部に位置する赤沼です。
この赤沼の周辺は、貴重な湿原植生の宝庫なのですが、今回空から見てみたらその貴重な植生の中に想像以上に「エゾシカ道」が縦横無尽についていました。
(掲載している写真のサイズでは見えにくいですが)
数が増加しているエゾシカの影響は釧路湿原でも懸念されています。
定期的に上空から撮影できれば、十分モニタリングにもなりそうです。

今回撮影した地点は、私にとっては日々の巡回で見慣れた景色なのですが、ほんの100~200mでも上空から見ることで環境の状況や変化がより分かりやすい場合もある、と実感しました。
撮影作業をしながら、季節ごとに撮影できたら・・・あそこも撮影できたら・・・と希望(欲望?)がバルーン並に膨らんでいきましたが、とりあえず今回の撮影は1日で終了。

自然環境や施設の状況など、国立公園の環境は日々変化しています。定期的に現状を画像として記録し、資料として蓄積することも国立公園を管理する上で大切な作業です。
今回の撮影分も資料に加えて、今後活用していきたいと思います。


*撮影した写真を「環境省 釧路湿原野生生物保護センター」に展示しています。
 お近くへお越しの方は是非ご覧下さい。