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北海道地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [北海道地区]

初冬

2009年10月30日
上川
木の葉も落ち、見通しが良くなった樹林帯の中を歩くと、枯れ葉のにおいや、枯れ葉を踏んだ音、霜柱や薄氷を踏みしめる感触が、初冬の雰囲気を盛り上げています。

人気の少なくなった樹林帯の登山道では、見通しがよくなったおかげで小鳥たちをよく見かけます。群れで枝に残っている種を食べているところ、仲間達でピーチクパーチク鳴いているところ、雪の上に落ちた種をついばむことに夢中なところや登山道をゆっくり歩いているところなど、近くで鳥たちの動きを見ることができました。


エサを探すコガラ


また、岩場のある麓では、ナキウサギが登山道脇にも姿を見せてくれました。私の気配に気がつくと、一時は穴に入って隠れますが、少しすると同じ穴や近くの穴から顔を出し、様子をうかがってから出てきて、草や苔をちぎって、食べたり、運んだりと冬の準備のため大忙しでした。実は今まで、せわしなく歩いていたり、会いたいという思いが強すぎて殺気立っていたりするのか、あまりナキウサギに会ったことはないし、見かけても遠すぎてよくわかりませんでした。しかし実際、近くで会ってみると、コロンとした姿やつぶらな瞳、チョロチョロした動き方や、斜め上に顔を上げてじっとしている瞑想といわれるが姿など、全てがかわいらしさ抜群で人気が高いのも納得がいきます。

さて、このナキウサギ見たことは少なかったものの、岩場やガレ場を通れば、鳴き声はよく耳にしていました。言葉では表しづらいけれど、「ピチッ!!」や「キィ!!」「チッ!!」などの鋭い高い声。目立つ岩の上とかで鳴いていたりするので、何でわざわざ目立つところで鳴くのだろう?あれでは「私はここにいますよ」とアピールしていて、より危険なのではないかと思っていたので調べてみたら、どうやら警戒声というよりは縄張り宣言のことのほうが多く、ほかの個体の侵入を防ぐ効果があるそうだ。危険を感じたときには、逃げながら「ピィルルル」という声を上げるらしい。

そして、なんと!!鳴き声で雄雌を聞き分けられるそうです。雄は「キッ」型の鳴き声で、雌は「ピッ」型らしい。えぇ!?聞き分けられるの?というのが率直な感想で、まったく思い出しても違いがわからないほど難しい。聞き分けができるようになるまで長いつきあいになりそうですが、聞き分けられたら会うのが楽しみになりそうです。


穴から出てきたナキウサギ


この時期に外に出たら、これからくる厳しい冬の前の野生動物の一時を見る事ができました。今年の冬はどんなシーズンになるのか、すこしずつ近づいてくる冬をわくわくドキドキそわそわしながら待っています。

さて、上川管内の登山口までの道路が冬期閉鎖しています。
【道道・銀泉台線】  閉鎖期間:2009/10/15~2010/6/17
【道道・愛山渓上川線】閉鎖期間:2009/10/22~2010/4/22
【町道・高原温泉線】 閉鎖期間:2009/10/11~2010/6/5
※積雪の状況によっては予定が変更することがあります。


黒岳6合目から(10/28)