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北海道地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [北海道地区]

羊蹄山~半月湖自然観察会

2009年11月11日
洞爺湖
お待たせしました!支笏洞爺国立公園指定60周年を記念した観察会、第2回目のご報告です!羊蹄山山麓にある半月湖で10月10日に自然観察会が行われました。半月湖は年代不明の火山活動によってできた火口湖で、直径700m、水深4mです。1周できる歩道がつけられており、日頃、地元の方の散歩コースにもなっています。今回は地元の方を対象に募集し、子供たち8名を含む29名の方が参加されました。まず初めに支笏洞爺国立公園についてクイズ大会をしました。
 さて突然ですが問題です!
Q1.支笏洞爺国立公園ではカルデラ湖である支笏湖と洞爺湖を中心に羊蹄山、樽前山、有珠山、地獄谷などの火山地形や、恵みである様々な種類の温泉やおいしい水があり、天然の火山博物館です。実は、この国立公園の中には活火山と定義される山がいくつも含まれています。道内の他の国立公園と比べると実はとても多いいのです。例えば有珠山、恵庭岳、樽前山、そして羊蹄山です。では羊蹄山の標高は次のうちどれでしょう?
1.1,041m
2.1,898m
3.3,776m

 答えは最後。よーく考えてくださいね。
 ■活火山って?!■
 活火山とは「概ね火口1万年以内に噴火した火山及び、現在活発な噴気活動のある火山」のことを指します。現在は日本に108の活火山があります。世界の活火山の約1割。

 早速、半月湖へ向かいます。その途中に大きなミズナラの大木があります。木はどのように成長し、どんな役目を果たしているのでしょう。今回、ニセコで活躍されているガイドの方を講師としてお招きし、半月湖の自然についてお話していただきました。さて、この木は大木で葉もついていますが、良くみると中は空洞です。なぜ生きられるのか?それは木の中を見ればわかります。生きているのは形成層という部分だけであることがヒントのようです。また、周りを見回すと木にはキノコなどの菌類がついています。木が様々なものと共存しながら森全体が形成されていることを学びました。



ミズナラの巨木の前で。見上げるほど大きな大木でした。

 
 次に目的地である半月湖へ。その半月湖の水際にはついこの間まで色づいていた様々な種類の葉が水面を彩り、まるで1つの絵のようです。羊蹄山は富士山と同じく成層火山(山頂や火口から長期噴火を繰り返して円錐形の火山体を作る)です。5~6万年前に誕生した羊蹄山は噴火を繰り返し約1万年以降には山頂の他、新たに山麓でも火口を作る噴火が起きました。その代表的なのがここ半月湖です。羊蹄山と半月湖の歴史や地形について雪をかぶった羊蹄山を眺めながら理解を深めました。



半月湖と羊蹄山のかかわりについて聞き入る参加者のみなさん。

 台風の影響でドキドキしながらの開催でしたが晴れた青空と紅葉の中、30名近い参加者のみなさんとの半月湖散策はあっと言う間に過ぎてしまいました。ぜひみなさんも自分だけの半月湖散策をしてみてはいかがですか。雪の中の半月湖も幻想的ですよ。


なんと、朝の下見の際に、逆さ羊蹄も朝方見ることができました!!

クイズの答え
Q1.答えは2番。1番は樽前山、3番は富士山です。富士山は羊蹄山の約2倍の高さですね。羊蹄山は富士山にそっくり。蝦夷富士といわれ、活火山です。

 少し補足です!「羊蹄山は国立公園指定後に追加されたのですか?」という質問を耳にしますが、指定当初から羊蹄山が含まれていました。国立公園に指定されるまでにはさまざまな論議が行われました。支笏洞爺国立公園の区域を決める際には羊蹄山が含まれていませんでしたが、当時の後志観光協会から、羊蹄山の他、「スキーで親しまれているニセコ、民謡で有名な積丹半島、海水浴で利用されている蘭島、水産加工で著名な岩内、果物の王国余市一帯を含む全てを国立公園に編入してほしい」という要望がありました。その中で支笏洞爺国立公園の特徴には湖沼(沼や湖)が多いことと、火山の多い点であるから、我が国において富士山に次ぐ完全な火山の原型を保っているので羊蹄山は編入しましょう!となったそうです。