アクティブ・レンジャー日記 [北海道地区]
洞爺湖~四十三山・金比羅火口自然観察会
2009年11月13日
洞爺湖
3回目の支笏洞爺国立公園60周年記念自然観察会が10月29日に行われました。お天気はあいにく小雨。13名方が参加してくださいました。今年8月に洞爺湖有珠山地域が世界ジオパークに登録され、住民の方々も少しずつ地域の自然について学びたいという意識が高まってきました。
99年前に噴火によって出来た四十三山と9年前の2000年噴火によって出来た火口群、金比羅火口を舞台に、NPO環境防災総合政策研究機構の宇井先生を講師にお招きし自然観察会が行われました。その2つの場所を1日で歩いて約100年の経過を体感してみよう!というのが目的です。そしてもう一つが、洞爺湖といえば温泉。その温泉の源泉井戸が四十三山にあり、その井戸を見学しました。
洞爺湖ビジターセンターにある洞爺湖を1200分の1に縮小した空撮写真の上で洞爺湖や有珠山の成り立ちについてお話しました。
午前中は、金比羅火口群へ。2000年噴火の活動によって出来た大きな断層や元々、人々が生活していた場所に出来た大きな火口を見学しました。その火口は、有くん珠ちゃんという名前がついています。まだ火口のそばには噴気するような箇所もあり、有くん火口の中は、エメラルド色の湖水が見えます。なぜエメラルド色に見えるか?実は、地下から湧き出す弱い酸性の水が地下の岩の成分を溶かしているのではないかということのようです。火口縁では噴石や火山灰などが降り積もることによってできた層や、火口の麓に植生が回復してきた様子も目にすることができます。また、かつて人間の生活を忍ばせる電柱やアパート、国道跡のアスファルト、そして昔、洞爺駅から洞爺湖温泉まで走っていた洞爺湖電気鉄道が走っていた鉄橋跡などを見ることができ、火山と人間の生活がとなり合わせであることを感じます。
有くん火口(KA火口)の火口縁から。この景色を見て参加者のみなさんも驚きの様子でした。
午後は四十三山へ。四十三山歩道は2.45kmあり、1910年に噴火した際にできたいくつかの火口を見ながら噴火の歴史や温泉、また噴火後の植生について学びながら歩けるコースとして昨年6月に開通しました。どの時期もそれなりにおすすめですが特に、晩秋や春先は葉がなく、火口をきれいに見ることができます。
まず初めに、洞爺湖温泉を管理している洞爺湖温泉利用協同組合さんに特別に許可をいただき、四十三山麓にある源泉井戸にて、火山と温泉のメカニズムや、洞爺湖温泉の歴史について興味深いお話をしていただきました。井戸から出た源泉に触れ、火山の恵みを体感しました。
その後、本日の第2の目的である四十三山にできた2番目に大きい火口へ行く予定でしたが、あいにく突然の大雨と雷により予定変更を余儀なくされました。その後は洞爺湖ビジターセンターにて、四十三山ができた経緯や今なお水蒸気を出している噴気孔などのみどころ、その噴火の際に当時活躍した人々などについて宇井先生よりお話していただきました。
四十三山の林内にて。わずかに紅葉が残る。
最後に、支笏洞爺国立公園指定60周年を記念したクイズ大会を行いました。さてみなさんにも1つクイズを出したいと思います!
Q1.支笏洞爺国立公園は登別(カルルスを含む)、羊蹄山、洞爺湖、支笏湖、定山渓、北湯沢、蟠渓が国立公園となります。さて、面積は次のうちどれでしょう?(1ヘクタールは100m×100m)
1.90,481ヘクタール
2.99,473ヘクタール
3.226,764 ヘクタール
答えは最後に・・・。
支笏洞爺国立公園の特徴は「火山によって生み出される自然景観」です。それは人に恵みを与え、また時には脅威となります。しかし、この大地の変化によって、地球が生きていることを体感し、人間がどのように地球(自然)とつきあっていけばいいのかを知ることのできる場所です。今後も、この地域では住民の手でその自然とのつきあい方を、後世へ伝えていくことが大切なのだと思います。
昨年も同様の観察会を行い人気があり、今年も当初30名近い応募をいただきました。18日に行う予定でしたが、雨天のため延期となりました。また今後もこのような自然観察会を行っていきたいと思います。
※金比羅火口散策路/金比羅火口災害遺構散策路・四十三山歩道は11月10日より4月19日(予定)まで冬季期間閉鎖となります。
→金比羅火口散策路/金比羅火口災害遺構散策路についての詳細は洞爺湖町観光振興課まで(0142-75-4400)
→四十三山歩道についての詳細は洞爺湖自然保護官事務所まで(0142-73-2600)
クイズの答え
Q1.答えは2番の99,473ヘクタールです。北海道の中で2番目に広い面積を持つ国立公園です。北海道で1番大きい国立公園は大雪山で226,764ヘクタール。3番目に大きいのは阿寒国立公園の90,481ヘクタールです。阿寒と大雪山は、昭和9年に指定されました。
国立公園では国立公園の巡視や調査、施設整備を行っているレンジャー(自然保護官)とアクティブレンジャー(自然保護官補佐)がいます。支笏洞爺国立公園では自然保護官事務所は支笏湖と洞爺湖の2箇所のみです。現在総勢5名で行っています。ちなみにレンジャーという意味は「うろつく」とか「歩き回る人」という意味の英語から。アメリカの国立公園の現地スタッフをパークレンジャーと言ったのが始まりです。黄色い制服を着て、国立公園の中を“うろついて”いますので何かあれば、ぜひ声をかけてくださいね。
99年前に噴火によって出来た四十三山と9年前の2000年噴火によって出来た火口群、金比羅火口を舞台に、NPO環境防災総合政策研究機構の宇井先生を講師にお招きし自然観察会が行われました。その2つの場所を1日で歩いて約100年の経過を体感してみよう!というのが目的です。そしてもう一つが、洞爺湖といえば温泉。その温泉の源泉井戸が四十三山にあり、その井戸を見学しました。
洞爺湖ビジターセンターにある洞爺湖を1200分の1に縮小した空撮写真の上で洞爺湖や有珠山の成り立ちについてお話しました。
午前中は、金比羅火口群へ。2000年噴火の活動によって出来た大きな断層や元々、人々が生活していた場所に出来た大きな火口を見学しました。その火口は、有くん珠ちゃんという名前がついています。まだ火口のそばには噴気するような箇所もあり、有くん火口の中は、エメラルド色の湖水が見えます。なぜエメラルド色に見えるか?実は、地下から湧き出す弱い酸性の水が地下の岩の成分を溶かしているのではないかということのようです。火口縁では噴石や火山灰などが降り積もることによってできた層や、火口の麓に植生が回復してきた様子も目にすることができます。また、かつて人間の生活を忍ばせる電柱やアパート、国道跡のアスファルト、そして昔、洞爺駅から洞爺湖温泉まで走っていた洞爺湖電気鉄道が走っていた鉄橋跡などを見ることができ、火山と人間の生活がとなり合わせであることを感じます。
有くん火口(KA火口)の火口縁から。この景色を見て参加者のみなさんも驚きの様子でした。
午後は四十三山へ。四十三山歩道は2.45kmあり、1910年に噴火した際にできたいくつかの火口を見ながら噴火の歴史や温泉、また噴火後の植生について学びながら歩けるコースとして昨年6月に開通しました。どの時期もそれなりにおすすめですが特に、晩秋や春先は葉がなく、火口をきれいに見ることができます。
まず初めに、洞爺湖温泉を管理している洞爺湖温泉利用協同組合さんに特別に許可をいただき、四十三山麓にある源泉井戸にて、火山と温泉のメカニズムや、洞爺湖温泉の歴史について興味深いお話をしていただきました。井戸から出た源泉に触れ、火山の恵みを体感しました。
その後、本日の第2の目的である四十三山にできた2番目に大きい火口へ行く予定でしたが、あいにく突然の大雨と雷により予定変更を余儀なくされました。その後は洞爺湖ビジターセンターにて、四十三山ができた経緯や今なお水蒸気を出している噴気孔などのみどころ、その噴火の際に当時活躍した人々などについて宇井先生よりお話していただきました。
四十三山の林内にて。わずかに紅葉が残る。
最後に、支笏洞爺国立公園指定60周年を記念したクイズ大会を行いました。さてみなさんにも1つクイズを出したいと思います!
Q1.支笏洞爺国立公園は登別(カルルスを含む)、羊蹄山、洞爺湖、支笏湖、定山渓、北湯沢、蟠渓が国立公園となります。さて、面積は次のうちどれでしょう?(1ヘクタールは100m×100m)
1.90,481ヘクタール
2.99,473ヘクタール
3.226,764 ヘクタール
答えは最後に・・・。
支笏洞爺国立公園の特徴は「火山によって生み出される自然景観」です。それは人に恵みを与え、また時には脅威となります。しかし、この大地の変化によって、地球が生きていることを体感し、人間がどのように地球(自然)とつきあっていけばいいのかを知ることのできる場所です。今後も、この地域では住民の手でその自然とのつきあい方を、後世へ伝えていくことが大切なのだと思います。
昨年も同様の観察会を行い人気があり、今年も当初30名近い応募をいただきました。18日に行う予定でしたが、雨天のため延期となりました。また今後もこのような自然観察会を行っていきたいと思います。
※金比羅火口散策路/金比羅火口災害遺構散策路・四十三山歩道は11月10日より4月19日(予定)まで冬季期間閉鎖となります。
→金比羅火口散策路/金比羅火口災害遺構散策路についての詳細は洞爺湖町観光振興課まで(0142-75-4400)
→四十三山歩道についての詳細は洞爺湖自然保護官事務所まで(0142-73-2600)
クイズの答え
Q1.答えは2番の99,473ヘクタールです。北海道の中で2番目に広い面積を持つ国立公園です。北海道で1番大きい国立公園は大雪山で226,764ヘクタール。3番目に大きいのは阿寒国立公園の90,481ヘクタールです。阿寒と大雪山は、昭和9年に指定されました。
国立公園では国立公園の巡視や調査、施設整備を行っているレンジャー(自然保護官)とアクティブレンジャー(自然保護官補佐)がいます。支笏洞爺国立公園では自然保護官事務所は支笏湖と洞爺湖の2箇所のみです。現在総勢5名で行っています。ちなみにレンジャーという意味は「うろつく」とか「歩き回る人」という意味の英語から。アメリカの国立公園の現地スタッフをパークレンジャーと言ったのが始まりです。黄色い制服を着て、国立公園の中を“うろついて”いますので何かあれば、ぜひ声をかけてくださいね。