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北海道地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [北海道地区]

羊蹄山の冬景色

2010年01月22日
洞爺湖
 あまりにも羊蹄山が美しく、その景色を撮影しました。みなさんご存じ、羊蹄山の近くにある山はスキーで有名なニセコと言われる場所です。多くの方がニセコを指すのはスキー場が集結するニセコアンヌプリですが、火山学的にニセコ火山と言われる箇所は、日本海側の雷電山からニセコアンヌプリまでとなります。(※1)


オロフレ峠からの羊蹄山。

ところで、ニセコ山系にあるニセコアンヌプリは羊蹄山よりは前に出来た山だということはご存じですか?ニセコアンヌプリについては、20万年前が最後の火山活動です。では羊蹄山の活動はどうでしょうか。今の円錐形の形になる前に、今の羊蹄山の中に古い別の火山体が存在し、それを古羊蹄山と呼ぶようですが、その古羊蹄山は10~5万年前の時期に活動を開始していることがわかっています。そしてほぼ現在の形に成長した新羊蹄山の最新の活動は1万年前です。そうなると羊蹄山はニセコアンヌプリと比べてまだ若い山体になります。標高が高く、富士山のようにそびえる山は、なんとなく周辺のどこの山よりも古い火山のように思いがちですが、当然、標高や容姿に関係なく、山の生い立ちは違うことがわかります。ニセコ山系で一番新しい火山活動ではイワオヌプリの2~1万年前の活動です。また、洞爺湖と比べたらどうでしょうか。洞爺湖は約11万年前に出来たとわかっています。よってこれもまた羊蹄山は洞爺湖よりも若いということになります。


羊蹄山と洞爺湖の姿。

ニセコ山系は支笏洞爺国立公園内ではなくニセコ積丹小樽海岸国定公園ですが、羊蹄山と周辺の山との関係を知ることはとても大切なことです。見る場所によって羊蹄山の形は様々、また雪がかぶるとさらに秀峰としての輝きを増します。



2009年度の羊蹄山の初雪の観測は9月15日(倶知安町HPより)、初冠雪は10月4日です。初冠雪とは「夏が終わった後、山麓の気象官署から見て山頂付近が初めて積雪などで白く見えること」だそうで実際に山に雪が着く日とは違うそうです。みなさんご存じでしたか?ちなみに1971年~2000年の羊蹄山の初冠雪平均日は10月2日だそうです。(気象庁HPより)

※1 ニセコ山系は、雷電山、岩内岳、目国内岳、白樺山、シャクナゲ岳、チセヌプリ、ワイスホルン、イワオヌプリ、ニセコアンヌプリとなります。

参考文献:「北海道の活火山」北海道新聞社