アクティブ・レンジャー日記 [北海道地区]
三年
2010年03月02日
洞爺湖
2月14日(日)、洞爺湖一円の生物多様性に関するフォーラム、「いま、洞爺湖の生命(いのち)と環境について考える」を開催した。
現在洞爺湖では、洞爺湖町と地域総合交流協定を結んだ酪農学園大学の学生が様々な自然環境調査を実施し、データを蓄積してくれている。地元NPOや、もちろん私たちとも連携を図りながら、各調査のほか、地域児童の環境教育にも携わっている。
そんな活動が進むなか、「僕らが洞爺湖で何をしているのか、地域の方に知ってもらわないと」「まずは足下の自然環境の現状を知ってもらうところから始めよう」という合致のもと今回のフォーラムを企画するに至った。
ウチダザリガニに関するフォーラムや防除体験会は何度か開催してきたが、「洞爺湖の生物多様性」という幅広いテーマは初であり、準備は全てゼロからのスタート。たたき台が無いというのはなかなかしんどい。しかしながら僕も言い出しっぺの一人でもあり、途中で引くわけにもいかず。
卒論やテストで苦しむ学生たちにも協力をいただき、なんとか開催までこぎつけた。学生のみんな、本当にありがとう。忙しい日程のなか、各準備を進めていただいた先生方、UWクリーンレイク洞爺湖、洞爺湖町、壮瞥町役場の皆様、本当にお疲れ様でした。
第Ⅰ部は学生による各調査の発表、第Ⅱ部ではクリーンレイク洞爺湖や壮瞥町によるウチダザリガニの防除報告や洞爺湖温泉小学校4年生による総合学習「とうやこタイム」の発表などを「地元の取り組み」として紹介した。
大学生、地元NPO、児童など…洞爺湖の自然についてそれぞれの目線で発表していただいた。
学生の調査発表は非常にためになった。細部までは紹介しきれないが、中島のエゾシカの現状や調査方法の実演、エゾシカが鳥やコケ、土など、他の生きものや自然環境に与える影響、アライグマの被害状況やウチダザリガニの移動距離、洞爺湖の水とウチダザリガニの関係、洞爺湖周辺のニホンザリガニ…。写真やアニメーションを多用しているのでとても分かりやすい。「専門家だけが理解できるような発表では意味がない」という思いが根本にあった。
約150名の来場をいただき、質疑応答では会場からもたくさんの質問や発言が。地域の方に洞爺湖の現状を知っていただく良い機会になったのでは。
思えば2007年4月、僕が洞爺湖に来たばかりの頃はまったく先が見えなかった。グリーンワーカー事業でウチダザリガニに手をつけてはいたものの、地域には認識されていなかったと思う。「捕ってもお金にならないものを誰が捕ると思うの?」とも言われた。
手探り状態でとりあえず自らウチダザリガニを捕獲しつつ、地域の方とも積極的に交流するように心がけ、呼ばれればどこにでも顔を出し、子供たちともよく遊んだ。あっという間の三年。
そんな毎日を過ごすうち、ウチダザリガニ防除のNPOができ、生物多様性保全協議会も設立された。今年度は壮瞥町が防除に乗り出し、洞爺湖町と酪農学園大学が協定を結び、僕はザリガニやその他の生きものについて教える環境学習などで外に出る時間が増えた。ザリガニという生きものが人の興味を惹きやすかったこと、地域の方や大学の先生・学生たちに支えていただけたことなどが功を奏し、ここまでたどりついた。「よそ者」の僕に出来ることなど限られていると思っていたから背伸びをせず、「どうしたらここの自然を守れるか」「自然保護と地域に必要なものをどうリンクさせるか」「そのために自分に出来ることは何か」を考えて動いてきた。
来年度は、環境教育の時間を増やしてもっとたくさんの子供と接したいし、一般向けや親子向けのイベントも開催したい。壮瞥町に甘え、自らウチダザリガニを捕獲する時間が減ってしまったので、「防除勘」を取り戻すために、また単独での捕獲作業も増やしたいし、今回のフォーラムも単発で終わらせるつもりはない。「洞爺湖の生きもの展」みたいなものも開催したい。
時は金なり。きっと今まで以上に毎日がバタバタと過ぎていくのだろう。「アクティブ」レンジャーなんだからこれでいいのだ。
現在洞爺湖では、洞爺湖町と地域総合交流協定を結んだ酪農学園大学の学生が様々な自然環境調査を実施し、データを蓄積してくれている。地元NPOや、もちろん私たちとも連携を図りながら、各調査のほか、地域児童の環境教育にも携わっている。
そんな活動が進むなか、「僕らが洞爺湖で何をしているのか、地域の方に知ってもらわないと」「まずは足下の自然環境の現状を知ってもらうところから始めよう」という合致のもと今回のフォーラムを企画するに至った。
ウチダザリガニに関するフォーラムや防除体験会は何度か開催してきたが、「洞爺湖の生物多様性」という幅広いテーマは初であり、準備は全てゼロからのスタート。たたき台が無いというのはなかなかしんどい。しかしながら僕も言い出しっぺの一人でもあり、途中で引くわけにもいかず。
卒論やテストで苦しむ学生たちにも協力をいただき、なんとか開催までこぎつけた。学生のみんな、本当にありがとう。忙しい日程のなか、各準備を進めていただいた先生方、UWクリーンレイク洞爺湖、洞爺湖町、壮瞥町役場の皆様、本当にお疲れ様でした。
第Ⅰ部は学生による各調査の発表、第Ⅱ部ではクリーンレイク洞爺湖や壮瞥町によるウチダザリガニの防除報告や洞爺湖温泉小学校4年生による総合学習「とうやこタイム」の発表などを「地元の取り組み」として紹介した。
大学生、地元NPO、児童など…洞爺湖の自然についてそれぞれの目線で発表していただいた。
学生の調査発表は非常にためになった。細部までは紹介しきれないが、中島のエゾシカの現状や調査方法の実演、エゾシカが鳥やコケ、土など、他の生きものや自然環境に与える影響、アライグマの被害状況やウチダザリガニの移動距離、洞爺湖の水とウチダザリガニの関係、洞爺湖周辺のニホンザリガニ…。写真やアニメーションを多用しているのでとても分かりやすい。「専門家だけが理解できるような発表では意味がない」という思いが根本にあった。
約150名の来場をいただき、質疑応答では会場からもたくさんの質問や発言が。地域の方に洞爺湖の現状を知っていただく良い機会になったのでは。
思えば2007年4月、僕が洞爺湖に来たばかりの頃はまったく先が見えなかった。グリーンワーカー事業でウチダザリガニに手をつけてはいたものの、地域には認識されていなかったと思う。「捕ってもお金にならないものを誰が捕ると思うの?」とも言われた。
手探り状態でとりあえず自らウチダザリガニを捕獲しつつ、地域の方とも積極的に交流するように心がけ、呼ばれればどこにでも顔を出し、子供たちともよく遊んだ。あっという間の三年。
そんな毎日を過ごすうち、ウチダザリガニ防除のNPOができ、生物多様性保全協議会も設立された。今年度は壮瞥町が防除に乗り出し、洞爺湖町と酪農学園大学が協定を結び、僕はザリガニやその他の生きものについて教える環境学習などで外に出る時間が増えた。ザリガニという生きものが人の興味を惹きやすかったこと、地域の方や大学の先生・学生たちに支えていただけたことなどが功を奏し、ここまでたどりついた。「よそ者」の僕に出来ることなど限られていると思っていたから背伸びをせず、「どうしたらここの自然を守れるか」「自然保護と地域に必要なものをどうリンクさせるか」「そのために自分に出来ることは何か」を考えて動いてきた。
来年度は、環境教育の時間を増やしてもっとたくさんの子供と接したいし、一般向けや親子向けのイベントも開催したい。壮瞥町に甘え、自らウチダザリガニを捕獲する時間が減ってしまったので、「防除勘」を取り戻すために、また単独での捕獲作業も増やしたいし、今回のフォーラムも単発で終わらせるつもりはない。「洞爺湖の生きもの展」みたいなものも開催したい。
時は金なり。きっと今まで以上に毎日がバタバタと過ぎていくのだろう。「アクティブ」レンジャーなんだからこれでいいのだ。