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北海道地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [北海道地区]

冬の森を歩く①

2010年03月17日
稚内
3月上旬の週末のことになりますが、夏の間、国立公園の利用案内や自然解説のアルバイト(サブレンジャー)をしていた大学生たちが冬のサロベツを訪れました。彼らは、冬のサロベツの様子も是非知りたいとはるばる札幌からやって来たのです。私はサブレンジャーたちと冬の森の散策に出かけることにしました。

 散策先は、現在新しい園地(インフォメーションセンター)の建設が行われている敷地横の円山の森と稚咲内の砂丘林です。
私たちはスノーシューを履いて最初に円山の森に入りました。
初めて冬のサロベツの森に分け入って、サブレンジャーたちは興味津々。
雪上の足跡、木の洞、虫こぶ、木の幹に生えたキノコや地衣類など・・・もう何でもかんでも彼らの興味の対象でした。
これからサブレンジャーと一緒に冬の森で見つけたものをご紹介しようと思います。

 冬の自然を楽しむポイントの一つに「樹木の冬芽観察」があります。
私は学部生の頃に林学を学んでいたこともあり、樹木の形態を見るのが好きです。
 円山や砂丘林で多く見られる木々にはハンノキ、ヤチダモ、ホオノキ、ナナカマド、ヤマウルシ、ミズナラ、ノリウツギ、エゾニワトコ、コシアブラ、オオカメノキ、ハリギリ、キハダ、ツルアジサイなど・・・、今思いつく限りでも十種類以上の樹木が挙げられ、それぞれ個性的な形態をした冬芽が観察できます。今回の散策でサブレンジャーの印象に残った冬芽はホオノキとナナカマドだったようです。


サロベツ原野周辺の森で見られる木々の冬芽
※今回紹介するのはホオノキ(左上)とナナカマド(右上)
写真をクリックして拡大してみてください!

 ホオノキは3~5cmにもなる大きくて表面の滑らかな冬芽を持っています。この大きな冬芽を先端に頂いた枝をじっくり見ていくと、輪生状に生えていた葉が落ちた後に、年ごとに刻まれていく葉痕によってホオノキの生長の様子が分かります。
私はこの冬芽で頬や鼻の周辺をそっとなぞるのが大好きです。
「うわーっ!変な人だ!」なんて言わないでください。
この冬芽の大きさは、顔のかたちに沿って肌をなぞるのにちょうどよく、
すべすべした感触はとても気持ちがいいのです。
お肌のお手入れをしている気分になりますよ(笑)。
サブレンジャーたちはそんな私の様子を見て笑っていましたが、
みんな次々に試してホオノキによる肌お手入れの素晴らしさに納得していました。

 ナナカマドの冬芽は私にとって「セクシーな大人の女性の口紅」を思わせます。
写真のナナカマド冬芽は暗くてちょっと分かりづらいですが、
しっとりとした艶を持った深みのある赤い色をしています。
こんな色の口紅が似合うようになりたいな・・・、と思うことがありますが、
そんな風になるための修行は全く足りていない気がします(笑)。
冬芽で唇をなぞって気分だけを味わいます。

 円山の森では、冬芽の他にも変わった木の洞のでき方に思いを馳せ、枯れ木に密生するキノコの観察を楽しみました。
キノコは分厚さのない波縁状の縁を持ち、同心円状に変化する不思議な色合いを見せてくれました。サブレンジャーの一人は密生するキノコの様子を“蛾か蝶が集団で木の幹に止まっているようだ”と表現しました。このキノコの様子をとてもよく捉えた表現だと思います。


上:変わった木の洞を観察するサブレンジャーたち
下:蛾か蝶が集団でとまっているように密生するキノコ

 そして、雪がうっすら溶けかけた窪地では水芭蕉の新芽が頭を出しかけているのを発見しました!
宗谷の冬は厳しかったけれど、春はもうすぐ!
この森の林床も、白い水芭蕉や黄金色のエゾノリュウキンカで鮮やかに彩られることでしょう。


雪が溶けかけた窪地から頭をのぞかせている水芭蕉の新芽(みずみずしい黄緑は目にしみるよう)

 さあ!次は砂丘林の散策へ!