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北海道地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [北海道地区]

まだまだ白い利尻山。雪崩に注意!!

2010年04月28日
稚内
4月25日に、プライベートで利尻山に登ってきました!
と言っても、当日は天候が悪く山頂までは行けず。北稜(鴛泊コース)から避難小屋までの往復ですが、そろそろゴールデンウィークを迎え、登山者も増えますから、参考までに山の状況をお伝えしておきます。


写真)4月25日の利尻山北西斜面


今年は雪解けが遅いですよ。
標高1000メートル以上では、新しい雪が20センチ位積もっていますが、最近の激しい気温変化によって、積雪は非常に不安定な状態。長官山下部の沢の源頭部には大規模なデブリも見られました。視界が悪く写真を撮れませんでしたが、この場所で、この日見たほど大規模なデブリを見たのは初めて。他の斜面でも結構雪崩が出ているようです。
利尻に来てたった5年目ですが、私が知る中では、この春は最も雪崩が多いと思います。

急峻な岸壁を持つ利尻山は、そもそもあまり雪がつかないため、落石が怖いという印象があっても、雪崩は起きにくい山、という印象を持っていたのですが、イメージだけで斜面に取り付いてはいけませんね。
当日は、湿雪が降る中、氷板の上に20センチ近くの新雪が積もった状態でしたが、私が登っている時にも、すぐ横の斜面で表層雪崩が起きました。パスっと表層部だけが剥がれるように。

写真は、この日、北陵標高約1000m地点の尾根から、北北西の斜面に少しだけ踏み込んだところで行った弱層テストの様子です。結果は見ての通りで、角柱を切り出す前に氷板と氷板の中間層がスライドしてしまう危険な状態。テスト実施地の結果が全てでは無いけれど、こんな日にこんな斜面に踏み込んではいけません。


写真)利尻山北稜 標高約1000m地点で行った弱層テスト

この時期の山スキーヤー・スノーボーダーは、一般的に沢沿いを奥まで詰めますが、ビーコン・スコップ・ゾンデを持つだけでなく、こまめに弱層テストなどを行って雪の状態を確かめましょう。晴れて暖かい日は、落石にも要注意。雪庇も大きく張り出したままの状態ですので、踏抜きにも要注意です。

雪山はきれいですが、きれいなものには気を付けなければいけませんね。

そうそう、話題は変わりますが、4月に入り登山者が急増したのと合わせるように、避難小屋の周辺にし尿の痕が目立つようになってきました。近年、スキー雑誌などに取り上げられる機会が増えて、訪れる人が増えたためか、マナーが低下しているのか…、これでは白い山が台無しです。
利尻山は、利尻島の大切な水瓶でもあります。汚物と悪臭を残さぬよう、夏同様に携帯トイレを使用されることをおすすめしますが、無い場合でも、せめて小屋から離れた場所で用便するなど配慮して下さい。皆で真っ白な利尻山を守りましょう!


写真)鴛泊・避難小屋の状況
2階のドアから出入り可能です。



以上、なんだか注意事項ばかりの情報になってしまいましたが、ゴールデンウィークの利尻島は、利尻山だけでなく、他にも見どころいっぱいです。お越しの方は、ゆっくりと楽しんでいって下さい。