アクティブ・レンジャー日記 [北海道地区]
冬眠から覚めたあいつ
2010年05月18日
上士幌
5月14日。公園内のとある調査(いまは内緒)で東大雪の石狩連峰の麓へ踏み入りました。
林道にはかなりの雪が残り、車では途中までしか行けません。片道約3時間の距離をスノーシューで進みます。気温は10℃くらいで日差しもあり、体を動かすにはちょうどよい条件で森の中を進みます。
1時間ほど進んだところで足元を見ると何かの足跡が。お化け屋敷やホラー映画などとは全く違う種類の恐怖感が襲います。恐怖映画につきもののBGMや効果音などここにはありません。小鳥のさえずりや木の枝がこすれる音、それに川のせせらぎなど大自然の音しか聞こえませんが、十分怖さを引き立ててくれます。
爪の痕がはっきり分かるということは前日かこの日の早朝と見て間違いない。かなりの距離をこの足跡とともに進むというなかなか刺激的なひとときです。鉢合わせしてしまったらそのときはそのとき。
歩幅はそれほど間隔が広くなく、若い個体と思われます。体重はせいぜい200kg弱程度でしょう。大関把瑠都と同じか。それでも闘って敵う相手ではありません。
足跡はやがて、水のあるところに踏み入って再び林道へ戻っています。
ミズバショウの食痕です。
実は足跡の持ち主はザゼンソウをより好んで食べるのですが、北海道では標高700mを越えるとザゼンソウが無くなるために、ミズバショウを食べるというのが本当のようです。ミズバショウはエゾシカも好むので足跡など痕跡がない場合は判断は難しいのですが、この食痕はまぎれもなく奴ですね。
昨年に比べて雪解けが10日程度遅い大雪山です。これから山菜シーズンが盛況となる季節で被害など無ければ良いのですが。その前に我が身の安全も確保しつつ夏山シーズンを迎えなければと思う2年目です。
※この日の調査で往復約6時間の行程で全身が筋肉痛になりました。冬のトレーニング不足を痛感しております。