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北海道地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [北海道地区]

キタキツネの多様な食性

2010年05月26日
ウトロ
 北海道といえばキタキツネというくらい人気があり、お土産物にも多く登場するキタキツネ。しかし、どのようなものを食べて暮らしているかはあまり知られていないのではないでしょうか?キタキツネは肉食獣に分類されますが食性は雑食性で、春はネズミ類やエゾシカの死体、夏は甲虫などの昆虫、秋コクワやヤマブドウなどの木の実やサケ・マスなどを食べています。どうやら季節によって獲りやすい物を食べているようです。


そっとこちらの様子をうかがうキタキツネ

 先日、巡視中にキタキツネに餌をあげる行為を見つけました。そのときはすぐ注意をしたので、餌は食べませんでしたが、キツネは近づく車に次々と近づき、餌をねだっていました。

餌をねだるキタキツネ
 
 先に書いたようにキツネは得やすい餌を求める習性があり、人間に近づいて「おねだり」をすると簡単に餌をもらえることを学んでしまうのかもしれません。
人間から餌を貰うということはキツネ本来の野生の姿を失わせるだけではなく、交通事故を招いたり、直接キツネに触ることでキツネが持つエキノコックスという寄生虫に人が感染する危険性もあります。


羅臼平でくつろぐ(09年8月) 
 
 海から山まで様々な環境がある知床。ここで暮らすキタキツネは魚、ネズミ、木の実、鳥、昆虫など他地域よりも多くの種類の食べ物を巧みに食べ分けて暮らしています。
私たちが適度な距離を持って接すれば、キタキツネは人間に近づくことなく生き生きとした野生の姿を見せてくれるでしょう。