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北海道地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [北海道地区]

花々のリレー

2010年07月01日
稚内
 短い道北の夏。
 だから、動植物の活動も忙しく進んでいきます。
この短い夏の間に成長したり、繁殖したり、子育てしたり、種をつけたりしなければならない訳ですから、少しもぼんやりなんてしていられないのでしょう。

 サロベツ原生花園の湿原。
前に紹介しましたが、5月下旬から咲き始めたヒメシャクナゲは6月一週から二週にかけて、小さな桃色の鈴を地面に沢山ばらまいたかのように満開になっていました。また、草の中に目を懲らすと白いがく片が5枚ついてお星様のように見えるミツバオウレンの花や、花びらの切れ込みがレース編みの縁のようなタテヤマリンドウの青や白の花が空を見上げていました。




 そして6月12日、13日の週末前後。
イソツツジの早い花が咲き始め、エゾカンゾウのつぼみから鮮やかな黄金色がのぞくようになってきました。イソツツジは枝の先端に小さな白い花が沢山集まって鞠のようです。各々の花からまつげのようにちょんちょんと出ている白い雄しべがこの白い花玉をますます可愛らしく見せているような気がします。

 中旬に入るとそれまで満開だった花々に代わって、別の花々が咲き始めました。20日の日曜日、今度はパンケ沼の木道に行ってみました。先端のさやの部分からゆっくり引き出された折りたたみ傘のようなカキツバタの花びらが、展開の準備が整って、開くのを心待ちにしているようでした。青紫の花をもう開かせた株もあり、しっとりとした雰囲気を漂わせています。
木道沿いの背の高い草の間にヤナギトラノオの黄色い花やホロムイイチゴの白い花も見えます。パンケ沼から幌延ビジターセンターに至る途中の小沼のほとりへ行ってみると、先週まで咲いていたミツガシワに代わって、カキツバタ、コバイケイソウが咲き乱れていました。
特に対岸の縁は満開のコバイケイソウで一面白く見えるほどでした。
コバイケイソウ[小梅けい草]は名前の通り、穂の先に梅の花に似た可愛らしい白い花を沢山つけるのですが、匂いをかいでみるとアンモニアのような臭い匂いがしました。びっくり!


小沼のコバイケイソウ~花盛りは過ぎたが対岸は白く見える~(20100625撮影)


 そして、あっという間に最後の週に入り、カキツバタやコバイケイソウは早くも花の終盤を迎えました。代わって、エゾカンゾウやエゾスカシユリ、エゾノシシウド、オオハナウドが海岸線を彩っています。原生花園ではエゾカンゾウの他、ツルコケモモが見頃を、トキソウも咲き始めています。

 先週満開だった花がもう終盤を迎え、違う種類の花が咲き始める。
まるでリレーをしているように、花から花へと季節がバトンタッチされていきます。今は、エゾカンゾウやスカシユリが鮮やかな花期を走り抜けている季節。次にバトンがタッチされるのは誰でしょうか。次のランナーの登場も楽しみです。


満開のエゾカンゾウと利尻山(20100625撮影)