アクティブ・レンジャー日記 [北海道地区]
【日本のいのち、つないでいこう! COP10まで50日前】
2010年08月24日
東川
---セイヨウオオマルハナバチ---
私の名前はセイヨウオオマルハナバチのマル子。ハチ目のミツバチ科で出身はヨーロッパです。1992年くらいから日本にやって来ました。何で外国育ちの私が日本に連れて来られたかというと、トマトの栽培の為に花の受粉をして欲しいという事で、私たちの出番となったみたいです。
それまで、温室トマトを実らせるためには、人の手で受粉を行うか、特殊な薬品を使って受粉なしに結実させる方法が取られていたみたいですが、人の手では大きな手間と時間がかかり、特殊な薬品ではトマトの味が落ちてしまうという欠点があったみたいです。そこで私たちを使うことで、これらの問題が解決され、少ない労力でおいしい温室トマトを作ることが可能になったのです。言ってみれば私たちは日本の農業にすごく貢献してきたと自分たちでも思っています。
でも、何故かここ5年くらい前から「セイヨウバスターズ」なる組織がいつの間にか出来て、私たちがいつの間にか悪者になって来てしまいました。どうやらトマトハウスから逃げ出した一部の仲間が問題になっているみたいです。2006年には「特定外来生物」言われるようになってしまいました。みんな悪気があって外に出てしまったのではなかったと思いますが、やっぱりハウスに隙間があれば外に出てしまうよね。
私たちは日本にいるハチの仲間よりも体が大きいから当たり前だけど到底私たちにはかなわないと思うし、中には日本のハチとも結婚して私たちとのハーフが生まれてきたりと少しづつ日本のハチたちが減ってきているみたいです。
それと盗蜜の問題。私たちは舌が短いから花に直接穴をあけて蜜だけをいただいてしまうこともあるので、花粉が運ばれずに生態系への影響が心配されているようです。
これはエゾオヤマリンドウに開けられた穴。ハチに詳しい人によると、これは日本に元々いるエゾオオマルハナバチのようだけど、私たちセイヨウかもしれないという事です。
最近はどこの町に行っても春先は網を持って私たちを捕まえるイベントが行われているみたい。ホントに仲間たちは戦々恐々です。
7月も終わると町には花も少なくなり、大雪山っていう高山植物がきれいな所に上がっていく仲間も最近はいるみたいです。かなり町からは離れている所なので、風のせいで連れて行かれたのか、引っ越しを繰り返しながら山の方に上がっていったのかは私には分かりませんが、そこでも「レンジャー」とか「パークボランティア」の腕章をした人たちが私たちを捕まえようとしているみたいで、私たちはどこに行っても追われる身になってきています。大雪山ではどうやらレンジャーの人がボランティアの人と一緒にここ数年前から捕獲作業を始めているようで、最近は参加するボランティアの人もかなり増えて来ているみたいです。
遠く離れた場所にいても腕章を付けた人の目が光ます。8月17日のボランティア行事だそうです。
その日の天気や気温、在来バチの数や種類なども調査しているようでした。
+++++++++++++++++++++++++++++++
というようにセイヨウさん達にも色々言い分はあるかと思います。人間にとって、セイヨウオオマルハナバチは今や農作物栽培で受粉作業を軽減させるためにとても有益な仕事をしてくれています。悪いのはセイヨウオオマルハナバチではなく、安易に野外に放出させてしまった私たち人間です。いまセイヨウオオマルハナバチは北海道各地で生息域を広げて、在来のエゾオオマルハナバチなどと競合し、在来種の生息域を圧迫しつつあります。特に高山帯などのデリケートな生態系が維持されているところでは、生態系に与える影響が危惧されています。これを防ぐためにパークボランティア活動や北海道の組織した「セイヨウオオマルハナバチバスターズ」などの方々の協力により、各地で防除活動が進められています。
なお、大雪山の稜線部などは国立公園特別保護地区に指定されていたり、特別天然記念物に指定されているため、例え特定外来生物といえども許可なくして採取(殺傷)することが禁じられています。もし、皆さんが大雪山の登山道でセイヨウオオマルハナバチなどの外来生物を見かけた際は、最寄りの環境省事務所またはビジターセンターなどの関係機関へお知らせ下さい。
私の名前はセイヨウオオマルハナバチのマル子。ハチ目のミツバチ科で出身はヨーロッパです。1992年くらいから日本にやって来ました。何で外国育ちの私が日本に連れて来られたかというと、トマトの栽培の為に花の受粉をして欲しいという事で、私たちの出番となったみたいです。
それまで、温室トマトを実らせるためには、人の手で受粉を行うか、特殊な薬品を使って受粉なしに結実させる方法が取られていたみたいですが、人の手では大きな手間と時間がかかり、特殊な薬品ではトマトの味が落ちてしまうという欠点があったみたいです。そこで私たちを使うことで、これらの問題が解決され、少ない労力でおいしい温室トマトを作ることが可能になったのです。言ってみれば私たちは日本の農業にすごく貢献してきたと自分たちでも思っています。
でも、何故かここ5年くらい前から「セイヨウバスターズ」なる組織がいつの間にか出来て、私たちがいつの間にか悪者になって来てしまいました。どうやらトマトハウスから逃げ出した一部の仲間が問題になっているみたいです。2006年には「特定外来生物」言われるようになってしまいました。みんな悪気があって外に出てしまったのではなかったと思いますが、やっぱりハウスに隙間があれば外に出てしまうよね。
私たちは日本にいるハチの仲間よりも体が大きいから当たり前だけど到底私たちにはかなわないと思うし、中には日本のハチとも結婚して私たちとのハーフが生まれてきたりと少しづつ日本のハチたちが減ってきているみたいです。
それと盗蜜の問題。私たちは舌が短いから花に直接穴をあけて蜜だけをいただいてしまうこともあるので、花粉が運ばれずに生態系への影響が心配されているようです。
これはエゾオヤマリンドウに開けられた穴。ハチに詳しい人によると、これは日本に元々いるエゾオオマルハナバチのようだけど、私たちセイヨウかもしれないという事です。
最近はどこの町に行っても春先は網を持って私たちを捕まえるイベントが行われているみたい。ホントに仲間たちは戦々恐々です。
7月も終わると町には花も少なくなり、大雪山っていう高山植物がきれいな所に上がっていく仲間も最近はいるみたいです。かなり町からは離れている所なので、風のせいで連れて行かれたのか、引っ越しを繰り返しながら山の方に上がっていったのかは私には分かりませんが、そこでも「レンジャー」とか「パークボランティア」の腕章をした人たちが私たちを捕まえようとしているみたいで、私たちはどこに行っても追われる身になってきています。大雪山ではどうやらレンジャーの人がボランティアの人と一緒にここ数年前から捕獲作業を始めているようで、最近は参加するボランティアの人もかなり増えて来ているみたいです。
遠く離れた場所にいても腕章を付けた人の目が光ます。8月17日のボランティア行事だそうです。
その日の天気や気温、在来バチの数や種類なども調査しているようでした。
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というようにセイヨウさん達にも色々言い分はあるかと思います。人間にとって、セイヨウオオマルハナバチは今や農作物栽培で受粉作業を軽減させるためにとても有益な仕事をしてくれています。悪いのはセイヨウオオマルハナバチではなく、安易に野外に放出させてしまった私たち人間です。いまセイヨウオオマルハナバチは北海道各地で生息域を広げて、在来のエゾオオマルハナバチなどと競合し、在来種の生息域を圧迫しつつあります。特に高山帯などのデリケートな生態系が維持されているところでは、生態系に与える影響が危惧されています。これを防ぐためにパークボランティア活動や北海道の組織した「セイヨウオオマルハナバチバスターズ」などの方々の協力により、各地で防除活動が進められています。
なお、大雪山の稜線部などは国立公園特別保護地区に指定されていたり、特別天然記念物に指定されているため、例え特定外来生物といえども許可なくして採取(殺傷)することが禁じられています。もし、皆さんが大雪山の登山道でセイヨウオオマルハナバチなどの外来生物を見かけた際は、最寄りの環境省事務所またはビジターセンターなどの関係機関へお知らせ下さい。