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北海道地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [北海道地区]

日本のいのち、つないでいこう! COP10まであと50日

2010年08月26日
支笏湖
ヤマジノホトトギス

今年は不安定な天気が続きます。北海道らしくない湿度の高い日が多く日照時間も少ないので、自然を相手に生計を立てている農家さんたちが気になります。
その日の天候で活動が左右される僕たちも、こんな天気だと右往左往してしまいます。

8月中旬、野鳥の森で自然観察会を行いました。パークボランティアの解説で夏の草花の観察を行いました。
その日も雨が降りそうで降らないと思っていたら、集合時間に合わせて雨が降り始めてしまいました。それでも比較的雨は弱く、安全な道を歩くので観察会を決行しました。
しっとりと降る雨の中を歩くのはとても気持ちが良く、参加者の皆さんもリラックスしている様子でした。

今回の観察会のメインとなったのは、ヤマジノホトトギスです。
ヤマジノホトトギス(Tricyrtis affinis)
【科名】ユリ科
【属名】ホトトギス属
【分布】北海道・本州・四国・九州



ヤマジノホトトギス



茎には下向きに毛が生えていて、葉はササに似ています。


この紫の斑点が少し毒々しくも見えますが、なんともかわいらしい花です。
この名前と花の模様ですぐ頭に入ってきますし、なかなか離れていきません。参加者の皆さんにも強く印象に残ったようで、観察会では強い味方になってくれました。

この花はとても広い地域に分布していますが、北海道では胆振以南に生息していると言われています。
こんなに広く分布している花なのに、支笏湖よりも北では滅多に見られないと思うと少し不思議な感じがします。

分布の北限に近いこの地域では、なんとか子孫を残しているのでしょう。
支笏湖ではこの花を見るのを毎年楽しみにしている方がいますし、寒い中頑張っている花たちです。
他の場所にはたくさん咲いていても、この場所では貴重な一株ですので見つけてもそっとしてあげてくださいね。