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北海道地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [北海道地区]

【日本のいのち、つないでいこう! COP10まであと50日】

2010年08月27日
釧路湿原
トドマツの倒木更新

釧路の森を歩いていると倒れた木をよく目にします。
中には苔むしていて、触るとふわふわで、少しずつ土に還っていく様子を見る事が出来ます。


さまざまな虫や菌類等に分解され、やがて森の栄養となり森を育てます。
そんな苔むした倒木を良く見てみると小さな樹木の稚樹が沢山生えています。


これはトドマツの稚樹です。

トドマツはマツ科モミ属の針葉樹で、北海道ではとても馴染み深い樹木です。クリスマスツリーにも使われる樹木で、知らないうちに目にしている人も多いのではないでしょうか。

トドマツは秋になると翼のついた種をつけ、それらが風に舞い、様々な場所に種が運ばれます。あるものは地面に落ち、あるものは倒木の上に落ちます。

そのまま冬を迎え、雪の下で種たちは北海道の厳しい冬を過ごし、そして春を迎えます。

地面に落ちた種は冬の間に種や稚樹を腐らせる菌に感染したり、春になり林床に生えているササ等に覆われて日光を遮られたりして、うまく生長することが難しいと言われています。

一方、苔むした倒木の上は日も差し、種や稚樹を腐らせる菌も少なく、腐りかけた倒木は沢山の水分を含む為、発芽した稚樹が生長するには適した環境です。

トドマツは主にこの倒木更新によって世代交代をしています。

倒木はやがて分解され土に還り養分になるだけでなく、新しいいのちを育てる苗床にもなっているのです。