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北海道地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [北海道地区]

遭難多発地帯・・・旭岳

2010年09月24日
東川
今年度の7,8月の夏山遭難の数は全国で530件。遭難者数は611人と記録の残る1968年以降過去最高の数字であったとの事(警視庁9月10日集計による)。
東川事務所が管轄する中でももっとも遭難事故が多い所と言えば、何といっても旭岳に他ならない。北海道の最高峰を一度踏破しようと様々な人がやって来る、と同時にこの山は遭難多発地帯でもあるのです。

視界不良による道迷い。下山時の転倒による骨折。などなど、特に大雪山は原始的な風景を残すために最低限の看板しか設けていないことから、悪天時にルートファインディングが出来なければ霧にまかれて道迷い遭難という事例がここ数年は以前にも増して多発しているのです。


転倒による骨折によりヘリでレスキューされる登山者。
(写真提供 旭岳ビジターセンター)

その対策として、先日関係機関(北海道・上川中部森林管理署・東川町・環境省)が集まり一番の遭難多発地点であり、以前から指摘されていた裏旭野営指定地~間宮岳にかけてのマーキング付け作業を行いました。
この周辺は視界の良い時には登山道も明確なのですが、濃霧時には本来の道を外れ全く違う方向へ行ってしまう登山者が多く見受けられる所。天候によって違う顔を見せる大雪山の恐ろしい所でもあります。



旭岳~間宮岳間の登山道の様子。左が晴天時、右が悪天時と同じ場所とは思えません。


過剰なマーキングを防ぐため、間隔や色なども関係者内で念入りに打ち合わせをした上での作業を行いました。

大雪山では既に季節は冬に向かっており、山からは初冠雪の便りが聞こえてきました。これからの時期は積雪により登山道が分からなくなることもあります。遭難→ビバーク用具がない→凍死にもつながる季節です。くれぐれも装備は万全にして登山を楽しんでもらいたいものです。

なお、今回の目印はあくまでも目安です。登山の基本は地図、コンパスを使った各自のルートファインディングが基本であることは言うまでもありません。自信のない方は視界不良時や悪天候が予想されるときは登山を控える。もちろん積雪が増えればマーキングも隠れてしまいます。

大雪山の標高の高い所では既に秋の山ではなくいよいよ冬山登山の時期です。