アクティブ・レンジャー日記 [北海道地区]
【日本のいのち、つないでいこう! COP10まで10日前】
2010年10月08日
羅臼
*セイヨウオオマルハナバチを追いかけて(ミツバチ科マルハナバチ属)*
山の紅葉が麓まで降りてきて、木々が鮮やかな秋の装いを見せています。
もうすっかり秋ですね。
山頂に積もる薄雪が、冬がすぐそこまでやってきていることを教えてくれます。
これから訪れる冬にむけて、動物や植物が様々な準備をしています。
葉を落とすもの、サナギで越えるもの、
冬毛で迎えるもの、眠りに入るもの…。
マルハナバチは、夏終わりから秋に生まれる新女王バチが、同じ時期に生まれたオスと交尾をして、卵を産む春まで、土や葉の下などで冬眠をして冬を越します。
秋も終わりに近づく現在、終わりかけの花に冬眠前の新女王バチが、蜜を吸いにやってきています。
冬眠前最後の食事をして、体力を蓄えようというのでしょう。
そんな中に、セイヨウオオマルハナバチという外来種のマルハナバチがいます。
私たちは、これ以上セイヨウが増えないように普段から防除活動をしていますが、特にこの時期のセイヨウ捕獲には力をいれています。
それは、セイヨウオオマルハナバチの特性の一つでもある、「高い繁殖力」があるからです。
一つの巣から約25頭の新女王バチが生まれる日本在来のマルハナバチに対して、セイヨウは約100頭も生まれます。そしてその新女王バチが、次の年の春から夏にかけて生む働きバチは、多いときには数千頭にも及ぶのです。
まさに脅威。
寒くなってきて、葉や花も枯れ、周りでは虫たちの動きがあまり見られなくなっているかもしれません。
けれど、1頭を捕獲すれば、来年の数千頭の働きバチと100頭の女王バチの出現をおさえることができる今はまさに、捕獲の「追い込み」時期。
みなさんの周りにも、冬眠前のセイヨウはいませんか?
白いおしりが特徴の「セイヨウオオマルハナバチ」*外来種
オレンジ色のおしり「エゾオオマルハナバチ」*在来種
花の蜜を吸う「エゾナガマルハナバチ」*在来種