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北海道地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [北海道地区]

【日本のいのち、つないでいこう! COP10まで10日前】

2010年10月08日
東川
エゾヒグマ
分類:ネコ目(食肉目) クマ科 

「大雪山はBEAR COUNTRY(ベアーカントリー)!」
ヒグマがいるからこそ大雪山は素晴らしい!大雪山に関わる者は皆そう思うであろう。

大雪山を歩く時、ヒグマの危険性は避けて通れない。しかしそれは逆に言えばそれだけ大雪山が自然の宝庫であるという事である。年々自然が失われていく中にあってこれだけの自然が残っている大雪山は貴重な財産である。
確かにヒグマがいなければ我々はもっと安心して山に入る事が出来るようになるかもしれない。しかしそれは同時に自然が破壊されてしまい、つまらない場所になってしまったという事であり、大雪山が大雪山で無くなってしまったという事である。やはりヒグマがいるからこそ大雪山は素晴らしい場所であるのだ。


警戒心が強い彼らの姿を見ることはなかなかあるものではないが、ここ大雪は間違いなくヒグマの楽園なのだ。(旭岳裾合平にて撮影)

昔、アイヌの人たちはヒグマの事を「キムンカムイ」(山の神)として崇めており、ヒグマとも共存していた。しかし現代ではどうであろうか?ヒグマが家畜を襲う、畑の作物を食い荒らす(もちろん昔もそのような事が全くなかったわけではないのだが)。例外もあるが、多くは自然が破壊され山を追われたヒグマたちだ。これ以上被害者のヒグマを作らないためには我々出来ることは何であろう。

例えば北海道ではあちこちで見られる道路に出てくるキタキツネ。彼らも最初から人間に食べ物をもらっていたのではないはず。誰かが餌やりをしたか、もしくは人間が捨てて行った食べ物などから人間に興味を示すようになってしまったのか。果てには子ギツネの時から親に餌のもらい方を教えてもらう個体がいずれ増えて来てしまわないようにしなくてはならない。



登山道入り口の駐車場で餌を待つキツネ。キツネももちろんだが、決して人間の食べ物をねだるようなヒグマを作ってはならない。自分たちの過ちは全て自分たちに帰ってくるのであるという意識を持つことが重要だ。

気を付けているようでもちゃんとやれているだろうか?

・山で食事をする際、食べ物のカスは登山道周辺に落とさない。ゴミを残していく事などもってのほか。
・野営の際、食糧などは外に置いておかない、臭いの強い食べ物は山では控える
等々。ちょっとした不注意から山の神(ヒグマ)が人間を脅かす存在になってしまわないようにしなくてはならない。

将来も「大雪山はBEAR COUNTRY(ベアーカントリー)!」と言えるような環境作りを我々はしていかねばならない。決してヒグマの住めなくなった大雪山にしてはならないのである。ヒグマがいるからこそ大雪山は素晴らしいのだ!


山では足跡を頻繁に目にする。当然のことながらここは彼らの住処であり、我々の住処ではない。山の神に畏敬の念を持って山に入らなくてはならない。場合によっては引き返すことも必要である。