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北海道地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [北海道地区]

【日本のいのち、つないでいこう! COP10まで1日前】

2010年10月15日
釧路湿原
リハビリ中のオジロワシ幼鳥

ここ釧路湿原野生生物保護センターでは事故などで傷ついた希少種が野生復帰のためにリハビリを行っています。

このケージはリハビリの最終段階で、奥行きは40mもあり、高い止まり木と低い止まり木を行き来する事で飛翔する為の筋肉を鍛え、更に生きた餌などを獲る練習などをし、野生に戻っても十分に生き延びられるよう訓練を行っています。
そして最終的には専門の獣医師により放鳥できるかどうかの判断を行い、野生へ戻ることになります。

現在このケージでは2羽のオジロワシがリハビリを行っています。

左側が成鳥(大人) 右側が幼鳥(今年の春産まれ)

タカ科のオジロワシは翼を広げると2m以上もあり、今年産まれの幼鳥も現在は成鳥と同じ大きさです。
大人と子供では羽の模様が違っていて、大人になると尾が白くなり、頭も白っぽくなり、文字どおりのオジロワシ(尾白鷲)になります。
北海道には一部繁殖している個体はいますが、多くは冬になると越冬のためにロシア極東地域などから渡ってくる冬鳥です。

今年の8月に収容されたこの幼鳥はひどい栄養不良で衰弱し、飛ぶ事も出来ない瀕死の状態で発見されました。

親がうまく餌を運んであげられなかったのかもしれません。
本来であれば親に餌を貰いながら、自分で餌を獲る訓練をして、独り立ちを目指している時期なのですが、その親がいないので自分で訓練するしかありません。

時々もう1羽に甘えるような声を出して近寄っていく行動も見られますが、もう1羽は無関心です。

センターの獣医師によると来年春までには放鳥したいとのことです。


ケージ内で豪快に飛翔するオジロワシ幼鳥

釧路湿原野生生物保護センターではけがや病気など、自分で生活することが困難になったワシやシマフクロウなどの希少種が収容され、野生に戻るためのリハビリをしている施設です。そのため、収容されている個体はできるだけ野生に近いような状態でリハビリを続けています。

残念ながら一般の来訪者の方は、人慣れをさせないために、近くで見学することはできません。人に慣れてしまうと野生に戻った後に人間の近くへ来てしまい、また新たな事故に遭ってしまう可能性があるからです。

釧路湿原野生生物保護センターの2階からはそんなリハビリの最終段階にあるオジロワシの様子を望遠鏡で見ることができます。窓越しではありますが野生に帰る為に頑張っているワシたちを応援してあげてください。