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北海道地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [北海道地区]

利尻山の登山道補修 その1

2010年10月26日
稚内
こんにちは。
あっという間に今年の登山シーズンも終わってしまいましたが、今日から少しずつ、利尻山で行っている登山道整備・補修の事例を紹介していきたいと思います。
初回の今日は、「石組ステップ&プール工」の紹介です!
まずは、論より証拠ということで、下の写真を見てください。

【施工前後写真】

施工前後 石組ステップ&プール工

深く掘れた登山道に、現地周辺から集めた石を帯状に組むことでプールを作り、浸食を起こす強い流れの勢いを弱めることを目的にしています。石組は、滑りやすい登山道のステップにもなっています。


「登山道は川である」とは、“近自然工法”と呼ばれる上記の工法を教えてくださった先生の言葉ですが、登山者の踏圧や、雨や雪どけの流水などによって溝のように掘れてしまった登山道は、雨が降ると川のようになります。
しかし、水は重力によって下に流れようとするので、溝状になった登山道に水が流れるのは当然です。そこで、下の写真のように、“水で、水をいなす”のです。

【流水状況(平水時)】

09年9月施工箇所(雨の流れ)

帯状の石組の一段一段にプールが出来ています。石組を乗り越えてプールに落ちる際のウォーター・クッションによって水の勢いが弱められているのが分かりますか?
水は流れども、浸食を起こすほどの勢いはもうありません。

しかし・・・
今年の7月29日、大雨(27.5ミリ/時、57.5ミリ/日)で推定水量を上回る量の水が流れたため、石組2基が決壊してしまいました。

【流水状況(最大水量時)】

2009施工S&P工 100729大雨洪水警報(27.5ミリ時、57.5ミリ日)

渓流ではありません!!! 登山道です。

写真上部の、登山道がボトルネックのように狭く絞られる部分で、水の勢いが強められたため、その直下の石組2基が耐えられず壊れてしまいました。構造的にもっと強く作ればよかったのですが、そもそも水量が多すぎるので、この石組ステップ&プール工の上部で、登山道外へ水を排水しないことには、解決になりません。
そこで、次回は、登山道外に水を逃がす工法について紹介したいと思います。お楽しみに!

今回のシリーズが、他の山岳地の整備・補修にも、参考としてお役に立てばと思います。

※注意
上記の施工箇所は、国立公園特別保護地区で国有林内であることから、現地石材の利用にあたっては、許可手続き等を行っています。