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北海道地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [北海道地区]

ゴミの先に見えるもの

2010年12月24日
洞爺湖
  洞爺湖地区パークボランティアでは洞爺湖周辺地域でゴミ清掃を行っています。特に洞爺湖湖畔や中島でのゴミ清掃ではアクティブレンジャー日記でも何度か取り上げたとおり、毎回40L容量のゴミが何袋も回収されます。そんな中、洞爺湖町より地域小学校5年生に、日頃行っている清掃活動について話してもらえないかというお話があり早速、虻田小学校5年生へゴミ問題についてお話することとなりました。



 10月21日(木)パークボランティアによる洞爺湖畔の清掃活動によって回収されたゴミ。燃えるゴミ40L×10、燃えないゴミ40L×4回収されました。燃えないゴミはほとんどペットボトルや缶、瓶でした。湖畔にこんなに捨てられていると思うとぞっとします。

 
  まずは、事前に洞爺湖湖畔で回収したゴミ40L容量のゴミを12袋ほど用意しました。ゴミの中身といえば、テレビ、キャンプで使用する椅子の骨組み、ラジカセ、漂白剤・洗剤のボトル、タイヤ、ガススプレー缶、電球、発砲スチロール、そして飲料用のペットボトルや缶、タバコの吸い殻、そして食品用袋などたくさんの人間によって出されたゴミです。それらのゴミをゴミ分類チェックシート(パークボランティア活動によって過去に回収したゴミの種類が記載してあるシート)を使ってどんなゴミがあるのかを調べシートに記録し、その後、燃えるゴミ燃えないゴミ、資源ゴミといった種類に分別を行いました。子ども達は大きなゴミから小さなゴミまで、泥や悪臭のするゴミをひとつひとつ火ばさみで取り上げ苦労しながらチェックしました。



 分類チェックシートを元に記録する子どもたち。


  分類した後のみんなの感想は「大変だった」「臭かった」「こんなものも入っていた」とあまりいい気持ちではないようです。その後、ゴミの分類チェックシートのゴミを見ながらどんなゴミが一番多いのかを全員で確認しました。一番多かったのは、やはり飲料水用のペットボトルや缶、瓶とお菓子やお弁当の容器や袋といったゴミでした。さらには分別し、資源にできるゴミの袋を見ると、資源ゴミとして回収できるようなペットボトルや缶、瓶のゴミ量が多かったのにも関わらず、泥や錆びで資源ゴミとして分別できず、燃えるゴミ燃えないゴミとなっている現状も知りました。
  そのゴミ分類チェックシートからわかることは、キャンプ、祭りなどで出たゴミ、漁業や農業によって出たゴミ、喫煙によって出たゴミ、投棄されたゴミ、飲食によって(日頃の生活で)出たゴミなど、その土地に住む人や洞爺湖を訪れた人つまり人間によってゴミが捨てられるという普段は意識しない、そして動物が捨てたわけではなく人間が捨てたという当たり前の話をしました。
  
 その後、ゴミによって死亡した海鳥の写真(北海道海鳥センター、ウトナイ湖野生鳥獣保護センターのご協力による)、近隣の川でゴミが捨てられたことによりサクラマスの遡上に影響が出ているといった新聞記事を元に、私たち人間によって捨てられたゴミが人間以外の生きものにたくさんの影響を与えているのだということについてお話しました。嘴に釣り針が引っかかったオオハクチョウや、釣り糸を足につけたまま飛ぶシロカモメ、またゴミでお腹がいっぱいになり餓死したコアホウドリなどを見た子どもたちは衝撃的だったようで、真剣にその写真に見入っていました。



 ゴミを減らすためにできることを模造紙に書いてもらいました。
  

 その地域に住む、動物や植物がたくさんの危険にさらされているというだけでなく、今回分類したゴミの中にあった油の缶や洗剤や漂白剤のボトルがもし、洞爺湖へ流れ込み、洞爺湖へ生息する生きものに影響が出て、私たちがその魚を食べることもあったら?私たちにも影響があるかもしれない。また、私たちの飲み水は洞爺湖からも引かれているため、私たちの飲み水が無くなるかもしれない。といったたくさんの「かもしれない」といったことが私たちの身の回りに起きていて、私たち人間にも関係する深刻な問題であることを伝えました。
  ゴミの先に見えるもの・・・大人になってもこのことを常に考えられるような大人になってほしいと思いました。



■参考HP■
※こども環境白書
http://www.env.go.jp/policy/hakusyo/kodomo/h21/index.html
※3Rまなびあいブック
http://www.env.go.jp/recycle/yoki/campaign/