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北海道地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [北海道地区]

「冬の大雪の魅力を探そう!」エコツーリズム行事開催

2011年02月02日
東川
1月25日の火曜日、旭岳温泉周辺において東川自然保護官事務所主催のエコツーリズム行事を開催しました。
エコツーリズムとは地域ぐるみで自然環境や歴史・文化などの地域の魅力を訪れる人に伝えることによってその価値や大切さを理解していただき、保全に生かしていくという仕組みです。

まずは旭岳温泉周辺の歴史の話から。
旭岳青少年野営場付近を歩くと廃墟となった建物が目に入ります。ご存知の方もいると思いますが、ここは昔この地に養魚場がありテラピアなどが養殖されていました。これらは各旅館等で一般宿泊者に「アサヒダイ」という名目で提供されて旭岳を訪れた人のみが口にする事が出来たようです。そういえばとある地図に東川町の名物として「テラピア」と書かれているものがあります。その由来はここからきているのですね。
しかしその「アサヒダイ」も時代とともに利用されなくなり、施設の撤去にも費用がかかることから建物だけが残され現在に至っているようです。しかしながらその周辺の池や川にはその当時に放されたテラピアが子孫を残しており、今でもこの周辺では至る所でこれらを見る事が出来ます。


参加者に養魚場などの旭岳温泉の歴史を説明する今日のガイドの一人、鳥羽晃一さん。右後ろの建物が養魚場の建物跡。

そしてこの魚、実は環境省でも「要注意外来生物」として指定している外来種なのです。う-ん、ここでも外来種・・・。過去に人間が放置したツケがここにも見られるというのは何ともやりきれない気分です。本来は暖かい地方の魚ですが、冬でも温泉水が入り込み水温が高く凍らない池がこの周辺には多いため、この時期でも彼らは越冬が容易にできるのですね。今後の課題となる歴史講義でした。

テラピアを見た事がない方の為に写真を一枚。この個体はかなり小さい方ですが、この辺りの大きいものはこの3倍くらいあります。

しかしながら、各旅館で振舞われていたこの「アサヒダイ」。一度は口にしてみたかったような気もします。当時を知る方は今ではどれくらいおられるのでしょうか?


それと併せて今回行われたのは「冬の大雪山・新体験モデルツアー」と題して、新たな冬のプログラムを見つけ出そうという事で、地元ガイドさん達とともに単なるスノーシューツアーだけでなく新たなアクティビティの発掘を目的としたメニューを行いました。
そのひとつが木登り体験。木々が生い茂るここ旭岳温泉の森の中では考えられそうで考えられなかったプログラム。ザイルとハーネスを利用しての木を登っていきます。参加した方々も見ているのと実際やるのとは大違い、コツをつかむまでは皆さんかなり苦戦していたようです。
木の葉が落ちるこの時期は夏と違って上に登れば登るほど視界が開けて周囲の風景が良く見えるというのが今回のプログラムで分かりました。なるほど、冬は冬でそういったメリットもあるのですね。

慣れてくるに従い、少しでも上の方に行きたくなるのは人間の心理なのでしょうかね?

その他にもシラカバの木を利用しての綱渡り等、さまざまな企画を考えてくださったガイドの皆さん、寒い中の準備とともに大変お世話になりました。この場をお借りして改めてお礼をさせて頂きたいと思います。今後自身のツアーなどで実践していけるプログラム等が今回のプログラムから見つけだせて行けると良いですね。

どうしても家に閉じこもりがちなこの北海道の冬の時期ですが、外に出ると楽しめる要素はたくさんあります。冬の遊び方の達人であるガイドさん達と是非新しい冬の魅力を見つけに行ってみてください。